冬ですねえ。冬といえば、やっぱりコタツでミカンですよねえ。好きな人と一緒にコタツでぬくぬく過ごす冬って、最高に幸せだ。


「オイ」
「……」
「オイ」
「……」
「オイって」
「いてっ!」
「聞いてんのかよ。ミカンばっか食いやがって」


ミカンの皮をむく手を止めて、叩かれた頭をさする。隣の隆也を見るととても不機嫌そうな顔をしていた。まーた眉間にシワ寄ってる。


「何でわざわざオレの隣に入ってくんだよ」
「寒いもん」
「コタツ入ってて寒いわけねーだろ」
「寒いのー」


はあ。大きなため息をついて立ち上がり、隆也は私の正面に移動してまたコタツに入った。私もその後を追いかけて、隆也の隣に入りこむ。


「入ってくんな」
「いーじゃん」
「狭いんだっつの」


隆也が移動して、私が追いかけて、また隆也が移動して。それを何回か繰り返すと、隆也は諦めたのか移動するのをやめた。よっしゃあと心の中でガッツポーズしながら、隆也にくっつく。あったかい。いいにおい。


「寒くなくなった」
「そりゃよかったな」
「何でそんなコワイ顔すんの」
「地顔だよ」


あ、そっか。変に納得して喋るのをやめた。少しの間の後、隆也の視線が私に降ってくる。


「何でお前そんなにくっついてくんの」
「寒いから」
「そんだけ?」
「ううん」
「なんだよ」
「…好きだから」


隆也の手が私の髪に伸びてきて、ゆっくりと撫でられた。気持ちいい。しばらくそうしてると、何だか瞼が重くなってくる。


「…なんか眠くなってきた」
「なにお前、寝る気かよ」
「うーん」
「ダメ」


髪を撫でていた手が背中に回る。包まれて、触れられて、キスされて。ふわふわ浮いてるような、不思議な気持ちになっていく。
コワイ顔とは反対に私に触れる手は優しくて、それがすごく幸せ。そしてそっと触れる唇は、ひどく甘い味がする。



12.31

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