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(私がもっと、大人だったら。なんとかなったのかもしれない、のに・・・)


 理不尽さを感じながら、それでも納得してしまう自分に軽く自己嫌悪。
 腕の中で不思議そうに見上げてくる、この小さな生き物をまた独りぼっちにしなければいけないのか・・・と、悲しみと悔しさと、罪悪感に苛まれ、どうにかできないかと考えてみても、やっぱり何もいい案は浮かんでこなくて。
 無責任に、無計画に、いつまで面倒をみてあげられるかも分からない私よりは。
 適切な、責任をもてる人に拾われた方がいいかもしれない。


「・・・うちでは飼ってあげられないけど、麻里のお友達にも聞いてみなさい。お友達が駄目でも、情報を回してもらって飼い主が見つかるかもしれないでしょ?」
「・・・うん」


 母の言葉が多少非情だと感じてしまうが、母なりにこの子猫を思っての事だというのは十分理解している。だからこそ、名残惜しいけれど、悔しいけれど、子猫をそこに置いていく事にした。


「・・・ほんとうに、ほんっとうに、ごめんね・・・!また後で絶対絶対来るからね・・・・・・!」
「にっ」


 そっと腕の中のぬくもりを、再び箱へと戻していく。

 今にも降り出しそうな雨で、少しでも濡れないようにと願いを込めて、箱の蓋をそっと閉めた。
 再び暗闇にの中に放り込まれたからだろうか。今までベンチの下に居るときは比較的大人しかった子猫は、私が見つけた時より激しくにゃーにゃーと鳴き、暴れているようだった。

 そうしてその場を離れようとしたその時。

 ドカーン!とか、ズドーン!なんかでは形容し難いほどの轟音と共に、私の脳天から身体中、鋭い衝撃が走った。

 痛い、とか。
 眩しい、とか。
 こねこは、とか。

 瞬時に思い浮かんだのはそんな事で。
 何が起きたのか考える間も無く、視界が白く弾けてブラックアウト。

 白の合間から一瞬だけ見えた空は。
 酷く暗く、どんよりと重い色をしていた。


(まるで今にも泣き出しそうな、)




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(2014/1/14)
ようやく1話が出来上がりました。終わる気がしません。


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