ヒバツナ
死ネタ/流血表現注意
「綱吉、好き、好きだよ」
「愛してる」
「どうしたんですか?急に」
「・・・・・・ただ、言いたくなったんだよ」
くすぐったそうに笑う君が愛しくて、手放したくなくて。
「ねぇ、綱吉も僕のこと好きでしょ?」
「・・・・・・好き、ですよ・・・当たり前じゃないですか」
白い頬を上気させながらそういう君を、誰にも見せたくない衝動に駆られて。
なぜか近くにいるのにどこか遠くに行ってしまいそうな気がして。
手を伸ばして己の腕の中に閉じ込め、抱きしめた。
「わっ?!」
「・・・・・・誰にも渡したくない・・・好きなんだ。本当に、愛して」
そういって抱きしめる力を強くすると、少し苦しそうにしながらも抱き返してくれた。
「本当にどうしたんですか?なんか、今日の雲雀さん変ですよ?」
「・・・・・・綱吉」
「何ですか?」
「殺してもいい?」
ぽろり、と
僕の口からそんな言葉がでてきた。
――本音が
隠していたわけではない、けど
自分の醜い独占欲が――
「・・・・・・はい?」
何を言われたのか分からないというように目を丸くして見上げる、その仕種さえも愛しくて。
思わず笑みが零れる。
「君を愛してる。君の笑顔も、声も、温もりも、全部。愛してるからそれを全部僕の物にしたいんだ。僕が殺せば君は誰の手にも渡らないし、ずっと僕の物であり続けるでしょ?
だから」
殺して、いい?
「・・・・・・・・・いいですよ」
「・・・・・・え?」
まさか承諾が得られるとは思ってなかった僕は、思わず間抜けな声を出してしまった。
「いいの?」
「はい」
「本当に?」
「いいですよ」
「・・・・・・本当にいいんだね」
「雲雀さんに殺されるなら」
お互いに見つめ合って、こんな会話をしているにも関わらず微笑みあって。
今までにないくらい、僕は幸せを感じた。
「・・・・・・好きだよ」
「俺もです」
君があんまり綺麗に笑うものだから、このまま時を止めたくなって。
隠し持っていたナイフで、君の心臓を
貫いた。
手に、肉の食い込む感触が直に伝わる。
少し遅れて君の身体がびくんとはね、服を強く握りしめられた。
それから君から溢れ出た温かい液体がナイフを伝って僕の手を濡らしていく。
「ぁ゛、が・・・っ!」
「つなよし・・・・・・愛してるよ・・・」
そういって頭を優しく撫でると、脂汗を滲ませ青白くなっていっているにも関わらず、君は弱々しくも僕に微笑んでくれて。
「ひば、さ・・・っ」
なにかを言おうとした君の口から、ごぽりと音を立てて血が溢れ出た。
それでも君は必死に何かを言おうとするから、そのたびに君の白い肌が、赤く、赤く、染まっていって。
「・・・・・・っあ・・・して・・・・・・」
焦点がもうろくにあっていない蜂蜜色の瞳をゆらめかしながら、それでも僕を抱きしめてくれる君が本当に愛おしくて。
血の気を失って青くなってゆくその唇に、甘い甘いキスを落とした。
しばらくして、君が抱きしめてくれていた手は力を失いするりと僕の背中から滑り落ちた。
動かなくなってしまっても僕は君の体を抱きしめ続けた。
そして幸福感に満たされながら、青く澄んだ空を仰いだ。
これで君は僕の物
「ずっと、そう、ずっと・・・」
君は永久に僕の物であり続ける。
最後のキスは鉄の味で。
冷たくなってゆく君を腕(かいな)に抱きながら静かに思う。
ああ、君には赤が
よく似合う