もう、ルークに残された時間は多くない。

 元々嘘を付くのが苦手な子供だったからか、仲間達は彼が何か隠している事を薄々感づいているようだった。
 それでも何も言わないのは彼らなりの配慮だろう。
 そういう自分も、彼らが気付き始めた事に目をつむり、変わらずルークの身体に異変が起きると庇っていた。

 いつだって庇うことしか出来なくて、自分自身に苛立ちを隠せない。
 どうにか彼を救いたいと嘆く反面、どうにもならないと冷静に告げる自分がいる。
 それでも彼を救う方法がないかと、皆が寝静まった今も、一人、必死で研究を重ねる。
 けれど、どれも彼の死を裏付けるような事実しか出てこない。


 もう、時間がない。


 時間がないのに絶望しか結果に出てこなくて、苛立ちや焦燥感だけが募ってゆく。
 隣の部屋で眠っているだろう子供を思い浮かべ、小さな声でぽつりと零した。



(こうしてあなたを想うことしかできない自分自身が、一番憎くて殺してしまいたい!)






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(2008/4/28執筆 09/1/7掲載)

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