追記+
1223 11:48


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「あー、意味わかんねえ!!」
『確かに難しいね……』


いつものようにルークと勉強をしていると、二人ともどうしても理解できない問題にぶち当たった。
ルークは頭を抱えて唸り、今すぐ投げ出してしまいそうな勢いだ。
私もルークの中から見えるその問題に眉を寄せ、どうにか解けないものかと無い知識からヒントになりそうなものを一生懸命引っ張り出していた。
すると、ふとあることにぴんときた私は手だけ表に繋げた。
ルークは左利きだけど私は右利きなのでペンを持ち替え、気付いたことを頼りに問題を解きはじめた。


『ルーク、ここをこうして、こうしてみたら……』
「ん?あ、それこの前の本に載ってた……」


ルークも私が解答している途中でやり方が分かったようで、文字を目で追いながら一生懸命思考を働かせているようだった。
それを微笑ましく思いつつも、私は私で掴んだヒントを頼りに必死に問題を解いていく。


『……ほら!』
「おおー!スゲェ、出来た!!」


とん、と軽く文の終わりに点を付けると、出来上がった解答を二人で眺めた。
私は解けた事に喜びの声をあげ、ルークも満足そうに笑顔で感嘆の声をあげた。


「はー、お前って頭いいよなあー……」
『え!?よ、良くないよ!?わかんない事だらけだからルークと一緒に勉強してるわけだし…!』


手の主導権をルークに返すと、ルークは解けたばかりの問題が書かれた紙を持ち上げて眺めながら、突然そんな事を言った。
いきなりの褒め言葉に私はあわてふためき、同時に酷く照れてしまい、自分の頬が紅くなるのを感じた。
といっても精神だけの存在なので他人には見られないけれど。(ルークは互いに精神を共用しているので別だ)


「それでもすげぇって!俺じゃ絶対分かんなかったし」
『そ、そうかなあ……?』
「そうだって!お前もうちょっと自分に自信持てよなー」


日本人の性なのか、私の生まれながらの性格なのか(おそらく両方だろう)、私は未だに彼に対しても腰が低かった。
だが、ここまで言われるとなんだか自信……というか勇気が沸いて来る。
それもルークが言うからこそなのだろうなと思ったが、励まして(?)くれているのがとても嬉しくて、私はルークに飛び付きたくなった。
実際にやろうとしても無理なので止めておいたけれど。


『…そう、だよね!ありがとう、ルーク!』
「ばっ礼言われるほどじゃねえって!」
『ううん、嬉しいことを言ってくれたから……だから、ありがとう』
「……おう」


御礼を重ねて言うと今度はルークが照れたようで、彼の頬に熱が集まっているのが感じられた。
きっと今鏡を見たら、真っ赤になった顔が拝めるのだろう。
そんなルークがとても可愛くて、私の顔は照れ笑いから慈しむような笑みに変わった。
それから急にルークに“会いたく”なって、耳まで熱くなっているルークに声を掛けた。


『……ねえ、勉強の続きは明日にして、寝ちゃおうよ』
「は?寝るって……まだ昼じゃねえか」
『あのね……ルークに“会いたく”なったっていったら…駄目?』
「ああー、そういうことか。いいぜ、今日はヴァン謡将も来ないしな」


昼間からだし、断られるかもしれないと思っていたので、了承してくれたのが無性に嬉しかった。
今日はなんだか嬉しい事続きで、罰が当たりそうだな、なんて考えている間に、ルークは勉強道具を片付けることもせずにベッドへと移動していた。


「寝てる時しか会えないのも不便だよなー」
『私はその間だけでも会えるから嬉しいよ?』
「だけどやっぱりなんか……」
『……寂しい?』
「ば……っそんなんじゃヌェー!!」
『ふふ、だよねー』


心の中でやっぱりルークは可愛いなあ、などと思いながら、私はくすくすと笑った。
再び少しだけ照れて赤くなった彼は、あと僅かだったベッドまでの距離を大股で縮め、乱雑にその上に横になると掛け布団を顔にまでかけて隠してしまった。


「…また後でな」
『うん、我が儘聞いてくれてありがとう、ルーク』
「……っも、もう寝るぞ!」
『うん』


ぶっきらぼうにそう告げた彼にお礼を言うと、半ば怒鳴るように叫ばれてしまった。
だけどそれが彼なりの表現だと分かっているので、私は口元に笑みを浮かべて愛おしく思うだけだった。
何故か人からの好意(主に私の)に素直になれない彼に、いい加減慣れればいいのにな、なんて考えつつ、私もさらに深く意識を沈ませていった。
今日はルークに会ったら、まずは抱き着いてやろうと思いながら。

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こんな感じでほのぼの路線で行きたいなー……
夢主が表に出てるときの話とか、ルークがまだ幼い時の話とかもいっぱい書きたい。
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