上へ参ります | ナノ


  02


昔から泰助は小さい頃のアルバムを見せるのを、酷く拒んでいた。

『お姉ちゃんがいなくなっちゃう』

いつだって泣きそうにそう言って、アルバムを何処かに隠して父に怒られていた。
それから私は泰助が悲しむのが嫌で、アルバムを見たいと言うのをやめた。

『いつか俺が居なくなっても、アルバムを見たとしても“しんすけ”に会っちゃだめだからな』

顔も忘れてしまった"しんすけ"に会うなんて、無理だと言った私に消えそうな声で『迎えに来るんだ』そう呟いた。

あの頃の私は泰助が考えすぎているだけだと笑ったけど、泰助がいない今本当に迎えに来るのだろうかと少しだけ胸がざわめいた気がした。

prev / next

[ back to top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -