影から見守り、貴方を想う。
某月某日。
今日も麗しのあの人を見かけた。
どうやら今日は真選組の仕事はお休みらしい。
嗚呼、今日も可憐で素敵だ。
こうして影から見守ることしか…
「あ、銀さん荷物…」
「女に持たすわけにいかないだろーが。何の為に一緒に来たと思ってんの」
ぎ、銀時殿ォォオオ!?
「ふふ、ありがとう。今日は奮発してデザートもつけるからね」
「まじでか!あ、やべちょっとトイレいってくるわ」
「あ、うん。待ってるね」
新婚みたいな雰囲気かもし出して、私がちょっと若にこってり絞られて接触禁止令だされている間に一体お二人に何があったというんだ!
思わず奥歯をギリギリと噛み締める。
「ママー変な人が「見ちゃダメ!」…はい」
電柱を掴む手に力が入り、一人悶々としていると。
「あれ?東條さんじゃないですか?」
天使だ。天使が声をかけてきた。
「なまえ殿ではありませんか!いやー、き奇遇ですね。買い物ですか?」
「はい、今は万事屋でお世話になっているので。銀さんと来てるんです」
そう言ってふわりと笑うその姿、まさしく天使。
若…この東條歩に暫しの天使の休息をお許しください。
「銀時殿がいないではありませんか!」
「銀さんは今と「では、お茶でも行きましょう。ささ…」
なまえ殿の手をとって歩き出そうとしたその時。
「おい何してんだストーカー」
ギギギと壊れたロボットのように振り返ると、私の肩に手を置いて鬼のような形相をした銀時殿が。
「なまえわりィんだけど、こいつとちょっと話あるから神楽と帰っといてくれ」
え、えぇー!私は何にも話すことなんてありませんよー銀時殿!
「なまえー!帰るヨー!」
「わかった。気をつけてね、銀さん。じゃあ、東條さん私失礼しますね」
私の伸ばした手が届く筈もなく、そう言って天使は去ってしまった。
「まだ懲りてねェのか」
「ストーカーだなんて失礼な!私はね、天使に危険が及ばぬよう影からこっそり見守り、かつ天使の行動を記録していたんですよ!」
「それがストーカーっつーんだよ」
銀時殿がピシャリと言う。
何を隠そうこの天使の毎日は5冊目に入るのだ。
「九兵衛に言うぞコノヤロー」
「若に言われても痛くも痒くもありません。天使をお守りしているとわかっていただけてますから」
「接触禁止令はまだ解けていない筈だ」
後ろを振り返ると若が大層ご立腹でいられた。
「迷惑をかけたな」
「おー。早いとこ回収してくれ」
シッシッと追い払う動作をしながら言う銀時殿に、「若!断じてストーカーなどではありません!」と必死に弁明する他なかった。
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