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  04



転生族。幕府にすら知られていないその存在。何故、この男が知っている?

「時を越える力を持ち合わせていながらも、その存在を未だ幕府に知られていない…何故その事を知っているって顔だなァ」

鬼兵隊の高杉晋助。ここはやつの船らしい。
神威という神楽の兄貴に連れられここまでやって来たが、目の前でキセルをふかすこの男。一体何者なんだろうか。

「生憎俺にそんな力はない。何せ母親が普通の人間でね」

「…らしいな」

ふぅと息を吐き、立ち上る煙が男の周辺をゆらゆらまとわりつく。
背中に嫌な汗がながれた。どこまで知っている?

「なまえって言ったよなァ、あの女」

「姉ちゃんは関係ない」

「姉ちゃんねェ…」

ククッと不気味に笑う高杉。思わず声を荒げた。

「なにがっ…「お前、養子だろ。実の弟じゃねェとお前の姉貴は知ってるのか?」

ぐうの音もでなかった。そう、事実なのだ。姉ちゃんは俺が転生族とのハーフであることも、養子であることも知らない。
そして俺が転生族最後の生き残りであることも。

「目的は…」

「お前の血とその"腕"。…あとはその能力(ちから)とでも言っておくか」

「知ってるだろ!俺はハーフだからそんな力は使えないんだ!」

俺がまくし立てると高杉は面白いとでもいうように笑いはじめた。

「まだ気づかねェのか、中の獣に」

「…獣?」

「時が来ればわかる」

俺にはお前が必要だ。いずれお前は戻れなくなる。

そういって不気味に笑う高杉の顔が頭を離れなかった。



『晋ちゃん、迎えに来てね絶対だよ!』

記憶の片隅に揺れる幼い自分と彼女。朗らかに笑うその姿が何処と無く似ている気がした。

「…いずれお前も取り戻す」

なァ、なまえ

お前が最後の砦だ。



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