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  決意は固く


「おーい酒たんねーぞォ!あ、これか」

「てめっ、それは俺の酒だァァ!」

「それ俺の酒だからトシぃ!」

銀さん、土方さんはお酒に弱いのだろうか。それとも呑みすぎなのか。どちらにせよたちの悪い酔い方である。

近藤さんの乾杯の挨拶と共に始まった私の退院祝い。出前をとったという料理はどれも美味しそうで箸も進む。

「神楽ちゃん高いのばっかり食べないでよ」

「何言ってるアルか、新八こそタッパー持ち出すなんて貧乏臭いネ」

口一杯に頬張る神楽ちゃんとタッパーに料理を詰める新八くん。これも楽しみ方のひとつなのだろうか。

「主役が呑まなきゃ駄目ですぜぃ」

「そうちゃん」

グラスには鬼嫁が注がれる。一口呑めば久しぶりに呑んだせいなのかいつもより体が熱く感じた。

弱いわけでもないのに、今日は少し体が火照りそうだ。そうちゃんに目を向ければふわりと微笑んでくれた。

「なまえさんはお酒呑むと色っぽくなってイケねェや」

「ふふ、そんなこというのそうちゃんくらいだよ」

そう言って私が笑うとそうちゃんが自分のコップにはいっている恐らくお酒であろうか、一口呑んだ。

「なまえさんは、姉上に似てるんでさァ」

そう言って悲しげに笑うそうちゃんはお姉さんを思い出しているのだろうか。そうちゃんのお姉さん、一度会ったことがある。

「綺麗なお姉さんだったよね、全てにおいて」

あれは確かそう結婚の報告だと言って江戸にきていたとき。私は詳しくは知らないけど、結婚相手の方が違法なことをしていたとだけ聞いた。
お姉さんのお葬式も出させていただいて、本当にとても綺麗な人だった。

「今でもたまに悲しくなりやす。姉上がいないだなんて、何か悪い夢でも見ているだなんて考えてねィ」

後ろで楽しげに騒ぐ声が聞こえる。不思議と居心地の悪さなんて感じなかった。

「そうちゃん、しばらく空元気だったもんね。今でもたまにあるけれど」

「…気づいてたんですかィ?」

そうちゃんのびっくりしたような表情に思わず笑ってしまう。

「当たり前よ。そうちゃんわかりやすいもの」

「まったく…なまえさんには叶わねぇや」

ふわりと心地よい風が吹き抜ける。そうちゃんの綺麗な栗色の髪の毛がさらさらなびいて、絵になるなぁなんて思った。

「俺はもう、後悔なんてしたくないんでさァ。だから、」

コップに入ったお酒をグビッと一気に飲み干した後、そうちゃんは私の両肩を掴み真剣な眼差しで見つめ言った。

「なまえさんを護らせてくだせェ」



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