あんばん!
「俺嬉しいでさァ」
隊長の見たこともないような天使の笑顔をみて、思わず持っていたあんぱんを落とす。袋にあんこ10%増量!なんて文字が見えたけど、そんなことより今は隊長のあの猫かぶりようだ。
間違いないなまえさんが来てる。
隊士の中でも知らぬ者などいない。沖田隊長のお気に入りであるみょうじなまえさん。彼女は知らないのだ沖田総悟がどれだけSなのか。
何重にも猫を被り、なまえさんの前では天使のような…そう本当に天使のように優しいのだ。
あの副長でさえ、「なまえが女中でもやってくれりゃあ、総悟もちったぁ仕事やるのにな」なんて言うほど。
男はいつだって好きな女の前では見栄をはりたいものだ。あの沖田隊長のことだ、なまえさんが女中やろうものなら、前より仕事はやるのだろう。
俺は嬉しくて仕方がなかった。
「おい、山崎何してんだ」
「は…原田さん…。なまえさんが女中をやってくれるそうです!」
「何ィ!?」
彼女は真選組にとっての癒しなのだ。俺は原田さんと共にガッツポーズをし、泣いて喜びを分かち合うのだった。
「……何泣いてんだアイツら」
副長がタバコを手にそんなこといってるなんて気付かずに。
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