02
「いやぁー助かるよ。何しろこっちも人手がなくてね」
「お世話になるんですもの、このくらいどうってことありません」
「なまえさんが女中やってくれるなんて、俺本当に嬉しいでさァ」
そうちゃんに手を引かれながら、部屋を案内される。近藤さんやそうちゃんの笑顔を見ていると、泰助がいないのは嘘なんじゃないかとさえ思ってしまう。
「なまえちゃんは隊士にも顔馴染みだし、他の女中さんも頼りになるって嬉しそうにしてたよ」
「俺もなまえさんの料理食べれるなんて、仕事が楽しくなりやすよ」
「もう。そうちゃん、近藤さんも買い被りすぎですよ」
そう言うけど、内心頼りにされるのは本当に嬉しい。どうして女中をやるのかという話になったのかというと、新八くんや神楽ちゃんから万事屋は万年金欠だと話を聞いていたのもありお登勢さんのスナックだけでは厳しいかもと思ったのだ。
毎日というわけではないが、シフト制にしてくれるらしい。なんでもシフトを組むのは土方さんとか。
「じゃあ、お休みをお願いしたいときは土方さんにお話しすれば…」
「俺に言ってくだせぇ。話つけ…じゃなかった。話しときやすから」
可愛らしい笑顔でそう言うそうちゃんに「いいの?」と聞くと「もちろんいいに決まってやす!」と言ってくれた。近藤さんをちらりと見ると、俺でもいいからねと言ってくれた。
このやりとりを影から見守る人達がいたなんて、私は知るよしもなかったのだ。
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