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  01


病室を出てすぐ入院費のことを思い出した。そうちゃんが払ってしまったらしい。お金を払おうとすれば、今度デートしやしょうと言われた。
そんなことでいいのかと思ったけれど、嬉しそうにするそうちゃんを見て楽しみねと言った。

他愛のない話をしていると屯所に着くのはあっという間で、と言ってもパトカーで来たし車だから当たり前なのだけれど。久しぶりの陽射しは眩しい。「足元気をつけてくだせぇ」そんなそうちゃんの優しい言葉に心が温かくなる。差し出された手をとり、荷物を軽々持つそうちゃんを見て男の子だなーなんて余計なことを考えながら屯所にお邪魔する。

「なまえさんの部屋は俺の部屋の隣にしときやした。困ったことがあればいつでも来てくだせぇ」

「ありがとう、そうちゃんの部屋の隣なら私も安心だわ」

はにかむように笑って嬉しそうにするそうちゃん。知らない場所ではないけど、仲のいい人物が近くにいれば安心だ。

そうちゃんはとある部屋の前で足を止め、ちょっと待つようにと私に声をかけた。

「近藤さん、なまえさん連れてきやした」

「おぉ、入ってくれ」

戸を開けると近藤さんと土方さんがどうやら話をしていたようで、そうちゃんは土方さんを見るなり顔をしかめた。

「なんでィ、土方もいたのかよ」

「捜索願いの書類まとめるためだ。お前に任せたら絶対ぇやらねーだろ」

「まぁそう言うな。さ、なまえちゃんも座って」

近藤さんの言葉に促され、近藤さんの前に正座する。捜索願いとは弟のことだろう。入院のときそうちゃんが話していたし。

「まぁ総悟からある程度話は聞いてるんだろうが、捜索願い出してもらった方がこっちとしても動きやすいんだよ」

土方さんが言った後近藤さんも頷く。

「泰助くんは真選組に入る予定だったし、何より総悟の隊に配属予定でもあったからね」

「アイツ剣の腕は確かですからねィ。ま、俺が教えたんですから当たり前でさァ」

飲み込みが早いと言っていたっけと思い出した。

「お願いします。何にせよ泰助のことは一刻も早く取り戻したいですから」

私の言葉に、任せてくれと言った近藤さんの笑顔が頼もしかった。

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