「神様は私の味方なんだわ!日頃の行いの成果ね!」

神様はどちらに存在するか分からないので、とりあえず太陽に向かって拝んでみる。あんたは何を信仰してるのよ、とミクが冷たく言い放ったが、助けてくれるなら神仏問いません!なんて罰当たりかな。

「なんだっていいけどさ、どうするの?呼んでこようか?鏡音レン。」

そう言うと、かしゃりと小さな音を立てて、クオちゃんはフリスクを手に乗せた。それを口に運ぶ仕草をじっと見つめる。

「リン?ミクオが呼んでくるって言ってるわよ?そうしてもらったら?」

ミクのその言葉でクオちゃんからミクに視線を移動させる。

「!!!呼んでくるって!図書館の君が私の目の前に現れるってこと!?」

あまりの驚きに立ち上がる。クラスの何人かが私を見た。ミクが迷惑そうな顔をしている。

「無理無理!死んでしまう。」

顔を手で覆いブンブンと横に動かす。

「じゃあ、何?次は隣のクラスをひたすら覗き見するわけ?」

ミクはため息をつくと顎を手のひらに乗せ、肘をついた。

「水曜じゃなくても見つめられるなんて素敵!」
「死ねば良いのに。」
「ひどい!!」

何事もなかったかの様にミクはお弁当を食べ始めた。クオちゃんも、どうしたいか決まったら教えてね、と言って教室へ戻っていく。

(どうしたいか。)

なんて、
何も知らない彼とどうしたいのだろう。彼に助けてもらったとか、廊下でぶつかったとか。そんな少女漫画的エピソードはない。たまたま行った図書館で、たまたま見かけた男の子。本を読む彼の姿に一目惚れ。そんな彼とどうかなりたいとか、それは、ない。はずなのに。まさか、私と彼に僅かでも接点ができてしまうとか。そうなると、なんだか今までの見ているだけで良い、とか言う気持ちが揺らぐ。

「あー、でも!直接話すとかやっぱり不可能だわ!絶対心臓止まる!」

想像しただけで死にそうになる。一人悶絶していると、殺気に近いオーラを感じた。ミクだ。右手に持っている箸が今にも折れそうにミシミシと小さな音を立てている。

「うるさい。」
「すみません。」

素直に謝っておく。ミクはきつく私を睨んだ後、またお弁当に目を向けた。

「頭、冷やしてきたら?」

ミクが呟く。出てけということか。相変わらずひどい。いくらオブラートに包んだ言い方だとしても。

「うぅ、冷すぎる。」
「出てけ。」

オブラートは容易に外された。この状態のミク様は本気だ。一旦外に出ることは免れない。仕方なくトイレにでも行こう。

「じゃあ、ちょっとトイレに。」
「はいはい、早くいってらっしゃい。」

軽くあしらわれて、さすがに心が傷んだ。しょんぼりと下を向いて歩きだす。だから私は気づかなかった。教室の廊下側曇ガラス窓の外の影に。ミクずっとが見ていたそれに。


なんにしても彼女はツンしかないんですか?



(でも本当は優しい子なのです、多分。)








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すみません、レン出ませんでした;;次こそは!









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