ドロリとした男の体液が私の中に流し込まれるのが分かった。それが流れこむ間際、一際甲高い声を上げて男のソレを締め付ける。押さえきれなかったのか、息を吐くのと同時に小さく声を漏らした。

それなりに熱くなった体温が急激に冷めていく。必要以上に甘い言葉を私にかけて、優しい指で愛撫を繰り返した男は、その指先で私の髪の毛をくるくると弄ぶ。

「やたらと冷めた目をしているな、アリス。」

男は私の顔を見ずに言った。

「そうね、とてつもない虚しさを覚えているのよ。」

同じように男を見ずに答えた。気だるい体は起こさないまま、無駄に高い天井を眺めている。

「虚しい、ね。さっきまであんなに啼いていたというのに。あぁ、ヨガっていたとでも言おうか?」

嫌な男だと思う。こちらを向いた顔は厭らしく口はしを上げて笑っている。

「どこがよ。傲慢な男を少しでも喜ばせてあげようとした優しさよ。」

なんて。私も大概体たらくだ。姉さんと家族と暮らしていたあの頃は、こんなこと一切あり得なかった。

「非日常すぎるのよ、この長い夢は。」

自分に言い聞かせるように呟き、重くなる瞼に逆らうことなく目を閉じた。遠ざかる意識の中に、男の優しい声が届いた。あたかも愛されているのではという無様な錯覚に陥りそうな気がして、泣きそうになった。






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セフレなブラアリ





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