・幸村と赤也

「…幸村部長」
「あれ、赤也。帰ってたの」
「あ、はい。ただいまっす」
「ああおかえり。それと、俺はもう部長じゃないんだけどな」
「それでも幸村部長は幸村部長っすよ、やっぱ部長って感じ」
「そう。まあ赤也の好きに呼べばいいよ、俺は構わないし」
「うぃっす」

「それよりどうしたんだい、赤也が俺の店に来るなんて珍しいね」
「あー、実はちょっと聞いて欲しい話があって…」
「いらっしゃいませー、きれいなお花はいりませんかー」
「部長!お願いだから俺のこと無視しないで!」
「冗談じゃないか。ちょっとしたお茶目だよ、お茶目」
「……」
「で、聞いて欲しい話って?」
「…、実は昨日、丸井先輩が突然家に来たんすよ」
「へぇ」
「意外と反応薄いっすね」
「まあ丸井ならやりそうだし、なんとなく納得しちゃうよね」
「そういうもんっすか」
「そういうもんだよ」
「ふへぇ…」
「で?まあここまできたらなんとなく話の内容は見えてきたけど」
「まじすか!」
「俺を誰だと思ってんの」
「…幸村部長です」
「その通り」
「部長、恐い」
「なんか言ったかい、赤也?」
「いえなんにも!」
「ならいいけど」
(…部長こわい)
「あっかやくぅん?」
「ななな何でもないっす!」
「うわー挙動不審であっやしー」
「お願いですから本題に戻して下さい、幸村精市部長様」
「仕方ないなぁ…、まあどうせ話の内容なんてさ、仁王といい雰囲気になってたところに丸井が乗り込んできたとかそんなところだろ」
「部長エスパー!?」
「まあそんなところかな」
「す、すげぇ…流石部長…」
「で、それでどうしたって?」
「ああそう、それで丸井先輩を引き取って貰えないかなって…」
「無理」
「即答っすか!」
「だって嫌だもん」
「ええっ、いいじゃないっすか。部長まだ独り身っしょ」
「撲殺天使幸村くんさんじょー」
「ちょ、待って部長!すみません嘘ですごめんなさいぃい…!」
「わかればよし」
「……部長」
「何」
「やっぱ…駄、」
「しつこいよ赤也」
「すみませんでした」
「あ、謝罪料金ってことで花買ってけよ。じゃなきゃ滅殺だから」
「…ええっ?!」



(20110331)
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