「……あかや?」
「あ、雅治くん。ごめんね、起こしたっすか?」
「もう行くんか…」
「うん。今日は早いんだ」
「…あかや」
「何?」
「きす」
「…してほしいの?」
「うん。…だめかのう?」
「そんなことないっすよ!」
「なら…してくんしゃい」
「っ…あぁもう!ホントにアンタって人は…!!」

チュッ

「…赤也、」
「何?」
「だいすき…」
「うん知ってる。俺も雅治くんのこと愛してるっすよ」
「……おん」
「じゃ、行ってくんね」
「気ぃつけてな」
「うん」
「風邪引くんじゃなかよ」
「わかってるって」
「……いってらっしゃい」
「行ってきます」


(何度も経験していることなのに、扉の閉まる音は虚しさを覚えさせる)
(行ってきますという言葉すらも寂しくて、被っていた毛布を握りしめた)



(2010.Poncho Shiramine)
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