「カミサマ」という偉大な存在を、ぼくは初めて心の底から憎悪した


※卑猥っぽい

 どうしてだろう。どうして神様と呼ばれる偉大な存在は、人間という生き物を性別というもので分けてしまったのだろう。

 どんな風に分けても、愛してしまえば男だろうが女だろうが、人を愛することに代わりはない。
 男でも子を孕むことが出来れば、女でも身に精子を宿せれば。同性愛という言葉も、偏見も、この世界に生まれはしなかった。

「ねえ仁王、お前はいつになったら、俺の子を孕んでくれるの?」

 俺と仁王の分身は、いつになったらこの美しい身体へと宿ってくれるのだろう。どれだけ心で愛し合っていても、毎日のように身体を重ねていたって、仁王の身体には特に変化は訪れない。

 こんなにも、俺は仁王雅治を愛しているのに。女でなく、他の誰でもない、男である仁王雅治という人を愛しているのだ。
 それなのに、どうして。こんなにも彼を愛しているというのに。身体の構造の所為で身ごもれない。そんな風にした神様って存在が憎くて仕方がなかった。

 だから「神の子」という、自分のその特別な名に僅かばかりの希望を込めて、同性同士で子を孕めやしないかと夢を抱いた記憶はまだ新しかった。

「っは、…っあ、あ」

「ああもうほんとに、」

 嫌になるなぁ。ぽつりと呟いた言葉に、仁王は目を見開くとこくりと小さく頷いた。

 悲鳴のような声が響き、起立していた彼の欲望からは透明に近い白濁が飛び散る。与えた快感で達したらしい彼は同時に中にいた俺の欲望も締め付けて、中に出すことを促すように収縮した。その心地よさに小さく唸り、何度も吐き出された肉壁の奥へ、また同じように俺の精子をそそぎ入れた。

「はやく孕んでね、雅治」

「…せ、いち」

 荒く息を吐く仁王を力一杯に抱きしめる。どくどくと躍動する彼の中で、俺の精子が相手を見つけられるようにと、自身を挿入したままで栓をして。

 はやく彼と俺の子供が孕めるように。例え滑稽と言われても、大丈夫、俺に不可能はないから。

「きっと、世界一綺麗な子供が産まれるよ」

 だって、それはオレとオマエのコドモだからね。



(20120216)
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