人間の滑稽追究


 愚かな人間。愚かな自分。
滑稽と分かっていても同じことを繰り返してしまうのは、自分がまだ未熟で愚かな故か。
どうしようもないと分かっていても、最終的にはその男だけを一心に愛している。それは純粋か、はたまた狂気なのか。色々と考えるくせに結局はそんなことさえもよくなって、俺の行為はどんどんとエスカレートしていった。

「おかえり、ブン太」

 どれほど他を味見してみても、他人を愛そうとしてみても、すべては失敗に終わってしまう。その行為に安心するような、焦るようなごちゃごちゃな感情を持て余して俺はあいつの元へと帰って行くのだ。何もなかったかのように、何食わぬ顔をして。
 己の行為の果てに後悔はなく、やはり自分には彼しか居ないのだと妙な安心感を抱いた。

「ただいま、雅治」

 自分はどうしたいのかと考えて、人間は何処まで愚かで滑稽になれるのかを試してみたいだけなのかもしれない。行き着いた結論自体が既に滑稽だというのに、そんな自分が止められない。
 彼はいつ俺のしていることに気づくのだろう。気づいた瞬間に彼はどんな反応をするのか。興味がある。興味がない。
相反する気持ちに自分が可笑しくなりそうだ。

 本来ならこんな馬鹿みたいな行為は止めるべきなのだろう。だけど止められないのは彼を、仁王雅治を愛しているからこそ。
愛している筈の彼を甘やかしたい反面、ぼろぼろに傷つけたいだなんて考えは傍から見たら最低以外の何者でもないだろう。

「飯にする?」

「あー…、そうだな」

 いつ気がつくのだろう。そんなハラハラ感とドキドキ感。人間の愚かさの追究だなんていつ考えついたのかも分からないけど、そんな事を考える幼稚で滑稽な自分も堪らなく愛しかった。

 こんな俺に早く気がついて。永遠に気がつかないで。
この行為が病みつきになる前に。俺が君以外を愛する前に。



(20111124)
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