※謙也高二 金太郎中三 ずっと一緒に居たいと思ったのは謙也が初めてだった。きらきらした笑顔が大好きで、気がついたら彼を捜していて、それが恋であると知ったのは同じ頃。まだ子どもだった自分はその気持ちを持て余して混乱した。泣きながら謙也に好きだと伝えたら、謙也が泣きながら嬉しいと言ってくれた記憶は今も鮮明だ。 「金太郎も今年から高校生やんな、めっちゃ早いわ」 「おん。来年から謙也とまた同じ学校に通えんねんっ」 一生懸命大嫌いな勉強も頑張った。謙也と一年間だけでも一緒の場所に居たくて大好きな謙也に勉強を教えてもらったのだ。謙也曰く元々飲み込みは早い方だったからすごく教えやすかったらしい。でも成績が上がったのは教えてくれる謙也の説明が良かったからだろう。だって学校の教師よりも全然解りやすかった。 そして高校受験の合格発表当日。合格したことをすぐに謙也に報告した。一番最初に、謙也に一緒に喜んで欲しかったから。 「なあ金太郎」 「なんや?」 不意に呼ばれた名前に首を傾げると、謙也はわいの身体に抱きついてくる。どうしたのかと抱きついてくる謙也を抱きしめ返すと彼からは昔と同じ太陽のにおいがした。何が楽しいのかくすくすと笑い、はにかんだ表情で見上げてくる。 「これ」 「…これ、って?」 どこから取り出したのか差し出された箱と謙也の顔を交互に見やる。少し大きめのその箱は、平均より少し大きめの謙也の手にすら余るくらい。受け取ってみるとそれは自分の手にはちょうど収まる。何のプレゼントなのかと謙也の顔を見るが、謙也は笑顔のままで何も言ってこない。更に首を傾げると謙也は満面の笑顔でゆっくりと口を開いた。 「金太郎。15歳の誕生日、おめでとう!」 その言葉で、そういえば今日は自分の誕生日だったと思い出す。家族には朝祝いの言葉を言われたばかりだというのに、謙也と会った嬉しさですっかり忘れていた。好きな人に祝われる十五回目の誕生日。忘れていた幸福感がじわじわと全身を支配する。気がついたら、わいは謙也の身体を力いっぱいに抱きしめていた。 「おおきに、謙也っ」 「おん」 精一杯の感謝の気持ちを込めた言葉は、ちゃんと彼に届いているだろうか。おおきに。もう一度感謝の言葉を告げると、更に優しい太陽のにおいが鼻腔を掠めた。 (20110401) |