知りたかった


※高校生
※丸←仁前提 モブ仁

ごめんな雅治。そう言って悲しそうに顔を歪めた丸井の顔は、今でも忘れられない。

どうして。
なんで。
意味が分からない。

理由も告げず自分の元を去っていった丸井の事を考えると、いつもやるせない気持ちと疑問が浮かぶ。仕舞いには何も考えたくなくなって、滅茶苦茶になりたいと思うようになった。丸井のことを考えずに済むように、意識が手放せるように。だから仁王は一番手っ取り早く意識を失える方法を選んだ。


「あ、は…ぁっ」
「仁王、」


不特定多数の男に抱かれる。仁王自身、容姿がそれなりに整っていることも理解していた。だから、仁王はそういう道を選んだ。
男女問わずに中学の頃は告白され、そのたびに丸井が妬いてくれる。そんなささやかな日常。あの当時の自分は、まさか将来こんなことになっているだなんて思ってもいないだろう。思い出すとそれだけで悲しいのに、どうしてか思い出す事が増えた気がする。丸井を失った悲しみから逃れられるように。そうして始めたこと。しかしいくら男に抱かれようとも、仁王の渇きは潤うこともなく更に枯渇する一方だった。意識は飛ぶどころかやけにハッキリとしていて、寧ろ自分を追い込んでいる感が否めない。


「んあ、あ…だめ、じゃ…」
「嘘吐け、メチャクチャ気持ちよさそうじゃねえかよっ」


中を擦る男の欲望を締め付けると、男がくっと眉を顰める。強烈な快感をやり過ごすためか、腰の動きが少しだけ緩くなった。さっさと終わらせてくれ、と快感に震える男へ手を伸ばすと、それを合図に再び腰を力強く打ち付けられる。


「ああっ…ぁ、ひぅ…」
「そろそろ、イキそうだ…っ」


ドンッと最奥を突かれ、仁王はその衝撃で起立した欲望から精液を吐き出す。絶頂への興奮で同時に中を締め付けるて、男も仁王の中へと熱い欲を吐き出した。


「は、はぁ…はっ」
「仁王っ」
「っ…ぁ?あ、待っ…」


仁王の息が整うのも待たず、男は再び硬度を取り戻した欲望で仁王の中を抉る。絶頂後特有の倦怠感と敏感さに身を震わせ、仁王は嫌々と頭を振った。


「や、も…無理じゃ、ぁ」
「んなことねぇって、まだイケんだろ…?」


吐き出された欲が中で掻き回され、ぐちゃりと粘着質な音を立てた。とっくの昔に自分の気持ちは萎えている。止めてくれ、と仁王は心の中で叫ぶ。もう既に、気持ちは思い出してしまった丸井に向いてしまっていた。


「ひあ、あぁ…あっ!」
「仁王っ、」


突然いなくなった丸井。理由も告げずに消えて、ワケも解らずに泣いた。せめて理由だけでも知りたいと、何度思っただろうか。強制的に与えられた快感に涙を流しながら、仁王はその中に悲しみの涙を流した。



(20110228)
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