右に光り、左に闇(赤仁期間)


右を見れば光りがある。
左を見れば闇がある。
どちらに進もうか、なんて普通なら考えるまでもないだろう。輝かしい方に迷わず進んでいく。しかしどちらか一方には大切な人がいて、この場合は左、つまり闇に彼は存在しているとする。その場合、貴方ならどっちに進んでいくだろうか。

右。輝かしい光りはあるが、心から大切と、愛しいと思える人物が一生現れることはない。

左。これから進んでいく未来は闇、茨の道を進んでいくことになるが生が尽きても大切な人が側に居る。

この場合、自分はどちらに進んでいくだろう。輝かしい未来は欲しい。しかし、焦がれるほどに愛しい人と離ればなれになって永遠に会えなくなるのはあまりにも苦痛だ。なんせ、今の自分にはそういう人がいるから。考えてみると、その辛さの基準は人それぞれなのである。輝かしい未来の為に大切な人を持たない選択もあれば、辛い人生になろうとも大切な人がいれば乗り越えられると考える場合だってあるのだろう。
良い悪いなんてない。正しい正義が解らないように、どちらが最善の選択かと決めるのは自分自身だ。

だから俺は考える。否、考えなくとも明確な答えは既に出ているのだ。全体的な幸福を考えた結果、本能は自然とそちらに揺れ動いて人の心を僅かに惑わせる。

俺は一歩、踏み出す。
また一歩、一歩と歩み出す。
自分にとって最善の選択。それは、大切な人と共に闇の中を歩いていく。生が尽きるまで支え合って、最後には大変な人生だったけど楽しかったと笑い合いたいから。

闇の中へ歩いていく。
人の輪郭が見えてくると、同時に銀糸が闇に染まっているのが見えた。愛しい人がそこに居る。例え輝かしい未来があろうとも、そばで笑い合える人が居ない方が辛い。

俺は駆けだした。
大切な人に向かって。
貴方と一緒に永遠を歩いていけるなら、茨の道だろうとかまわない。



(20110123)
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