愛しい君にインサニティ

※当サイトのピカリザは優しさの欠片も甘さもないピカ→リザ
※俺得擬人化設定
※ピカチュウは病み子
※若干性描写的なの有り


苛立てば苛立つほど、どんどんと込み上げてくるものは嘔吐感。目の前が霞んで、ぼやけて、首元までせり上がってきた胃液をどうにか呑み込んだ。ヒリヒリする喉元に舌打ちしたい気分になる。ゼェゼェと聞き苦しい息遣いが聞こえるが、しかしこれは自分の呼吸する音なのだと嫌でも理解すると、頭痛が襲ってくるような錯覚を起こした。


「ああもうやだなぁ、その目!ゾクゾクしちゃうじゃん!!」


嬉しそうに大きく声を上げた男は、容姿に似つかわしくない言葉を大声で叫んだ。にこりと人に好かれるような笑みを浮かべて、俺を見下ろしてくる瞳に苛立ちが積もる。ゆっくりとした足取りで木に寄りかかる俺の元へと近づいてくる男は、変わらず笑顔を携えたままだ。糞、寄るな。近づくな。そんな言葉を吐き出したかったが言葉は虚しい音を生み出しただけで、言葉にすらならない。そんな自分の体が恨めしくて、ギリッと奥歯を噛み締める。


「あれ?リザードン声が出ないの?ああそっか、あれだけ喘いでれば声も枯れちゃうか!!」
「っる、せ…」
「かーわいい。ほんと可愛い。なんで?どうして?リザードンはそんなに可愛いの!?」


キャッキャとはしゃぎながら俺の前でくるりくるりと回った男は、数回回転した後に俺の前を向いてぴたりと止まる。そして男に振るわれた暴力と、精液のせいで汚れた足へと躊躇いなく跨り、下半身に何も身に着けていない俺の体を熱い掌で撫でた。


「ここに付いてるコレはぼくが出したもの。そして君の中に出した精液もぼくの。非生産的なことなんて関係ないよね?だって、ぼくがリザードンを愛してるんだもん!!」


一世一代の告白をした、とでも言うように達成感に悦っているこいつは斜め上に向けていた視線を俺に合わせ、ヤラシイ手つきで俺の頬を撫でる。恍惚とした表情で、狂っているとしか思えない感情。これを男は愛と叫ぶ。その愛の言葉に俺の意思はどこにあるんだ。奥歯を更にギリッと噛み締めて、俺は男を睨みつける。すると男は髪の毛を唐突に掴んで、あまりにも突然のことに頭皮が悲鳴を上げたが、男は気にする様子もなく蕩けるような瞳で見下ろした。


「リザードンもぼくが好きでしょ?そうじゃないと、絶対にセックスなんてしないよねぇ」
「お、まえ…なんか、嫌いだ…っ」
「…嫌い?酷いな、酷いよっ!じゃあなんでぼくとセックスなんてしたのさ?」


子供が言葉を知りたがるように甘い声で聞いてくるくせに、男は大きくて黒い瞳には怒りが篭っているのがわかる。口元は笑っているくせに、目は全然笑っていない。どうして自分が怒られないといけないんだ、と同意なしの行為だったと脳内で正論を唱えてみるが、男に届くはずもなく。太ももに違和感を感じて重い頭をどうにか動かせば、そこには男の白くて、年不相応に細長い指が這っていた。


「ッ…や、め」
「リザードンもぼくが好きなんでしょ?君は素直になれないから、言わないだけで。ねぇ、そうでしょ?」


ぼくはリザードンを愛してるよ。愛しい人間、そう、俺達のマスターに向けるような純粋な笑顔を浮かべながら、コイツは自分の吐き出したものが残る俺の後孔に躊躇いもなく指を突き入れた。幸い慣らされまくったそこに痛みはない。しかし、快感にとかされたソコは侵入してきた指を締め付け、まるで誘うように吸い付く。自分の意志と反して反応を示す体が怖くなっていると、男は付け根まで収まったそれを突然バラバラと不規則に動かした。


「ッぁ、くぅ…」
「この精液はぼくの愛の証だよ。わかる?ドロドロしてて、ぼくの愛みたいじゃない?」


再び情欲を起こさせるような動きで中を犯していく指が、ぎゅちゃぐちゃと粘着質な音を響かせる。一点を掠めると背筋を大きな快感が駆け抜けたように感じたが、信じたくなくて俺は顔を背ける。すると男はそれが気に入らなかったのか、俺の名前を呼びながらぐいっと力任せにナカを抉った。


「ヒッ…、アッ!?」
「まだぼくの愛が足りないの?なら、もっとあげるよ、ぼくの愛」


リザードンにだけはたくさんあげる、と俺の耳の中へ舌を差し込みながら男は言う。何を馬鹿なことを言っているんだ、という言葉は降ってきた男の唇によって塞がれてしまい、俺は言うことを利かない体を結局動かすことも出来ず、入り込んでくる舌を受け入れているしかなかった。薄っすらと開いた視界から、この男の無駄に整った顔が見えて、吐き気がした。


「っは、ん…ぅ、んは…」
「ねぇ、リザードン」


甘い吐息と声を出しながら、男――ピカチュウは恍惚と頬を染め、瞳を蕩けさせながら、ぺろりと俺の頬を真っ赤な舌で舐める。そして俺達のマスターサトシへと向けるような、無邪気な笑顔を浮かべて、ピカチュウは言った。


「ぼくが君をドロドロに犯してあげる」


天使のような無邪気な表情なんて所詮は偽り。サトシも、仲間も、みんなみんなこいつの笑顔の裏に隠されたものをしらない。言葉に似つかわしくない少年の容姿をした悪魔を見ながら、俺は声にならない絶叫を叫んだ。誰か助けて、この男から、俺を。



(20100802)
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