高校生の分際で、絶対結婚しようね!なんて言い合っているカップルを見ているとアホらしくて笑えてくる。どうせ3ヶ月後には別れてんだろ?すぐ新しい相手見つけるんだろ?

別に妬んでいるわけではないし、ましてや羨ましくなんかない。頬杖ついて愚かな奴等を見てほくそ笑む。まぁひねくれてんのは認めるかな。


レンアイなんて面倒くさい。程々にしときゃあいいのに。





「なに見てんのお前」
「んー、らぶらぶかっぽー?」
「…あぁ、あいつらか。」

俺の前の席に腰をおろした倉持は「一昨日から付き合い始めたらしいぜ」と至極どうでもいい情報を提供してくれた。

「いつまでもつと思う?」
「いつまでって…」
「だってまだ高校生だぜ。結婚はあり得ねーだろ?そしたらその内別れに至るだろーよ」
「あ?今お前なんつった?」
「何って、あ。あぁ、お前らのとこは別だよ」



そうだ。"特例"もいるんだった。

この倉持こと高3男子と、彼女の1こ下で高2の幼馴染みちゃんは付き合ってどれくらい経つだとかの詳細は知らないが、長く続いていることは確かで。たとえ喧嘩をしたとしてもそれが別れに繋がることはなく、日を増すごとに仲良くなっていっている。気がする。

兎に角この2人が別れるビジョンは、全くもって浮かばない。

「結婚式には呼べよー」
「やなこった。その頃までお前とつるんでるわけねーだろ」
「またまた、ご冗談を」
「いやいや、マジだから」



倉持は早速彼女ちゃんにメールを打ち始めた。同じ校舎にいんのに。すげぇな。

「幼馴染みだっけ?いいよなぁ」
「本当に思ってんのかテメー」
「思ってるって。当たり前の存在っつーの?俺も欲しいわー」
「…お前にも幼馴染みいるって言ってたろ。その子はどーなんだよ」
「俺の幼馴染み?」
「タメの女子だろ。茅乃ちゃんよ」
「よく名前覚えてんな」
「お前わりと話してるぞ、その子のこと」



…そうだっけ?



倉持の言うとおり俺にも幼馴染みがいる。女子に使う言葉として適切かどうかはわからないが、悪友というかなんというか。気の許せる存在ではあるが断じて彼女ではない。

「茅乃なぁ…そんな目で見たことねーわ」
「顔は?」
「可愛いよ」
「お、いいじゃねーの」
「けど」
「けど?」

性格が俺そっくりなのよ、とパンをかじりながら言えば、そんな女子いんのかよ…と倉持は固まってしまった。が、一息おいて、

「意外にお似合いなんじゃね?」
「そうか?」
「似てる者同士惹かれ合うって言うじゃねぇか」
「お前と彼女ちゃん全然似てねーけど」
「ケースバイケース」



説得力のない棒読みの英単語を最後に話題は変わってしまったが、授業が始まってからも何故か茅乃のことが頭から離れなかった。小学生、中学生、つい最近までのことをひたすら思い出していた。

「(…茅乃ねぇ、)」

ふと斜め後方を見ると倉持がうつらうつら舟を漕いでいた。…昼休み終わってすぐの5限目はいつもと違って眠くならなかった。





20130222




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