体育祭

(高校2年生×高校1年生)


「ようちゃん、もうすぐ運動会だね」
「あー…そうだな。ってか体育祭って言えよ」
「たいいくさい…なんかおしゃれな響き」
「…そうか?」

お前それ人前で言うなよ。バカにされんぞ。千葉が。…つーか千葉東京関係なく高校では[体育祭]だ。多分。別に洒落てもねえからな。

「ようちゃんは何に出るの?」
「100メートル走」
「ですよねー」
「タイム順で決めてっからな」

秋大真っ最中だし、野球部1、2年はホドホドに参加ってのが暗黙のルールだ。まぁ、それでも俺は1位だろうがな!

「最前列で見ないとだ」
「小羽は何出んの?」
「大玉入れ!」
「大玉入れちゃうのかよ!?」
「あ、間違えた。大玉転がしと玉入れ!」
「玉好きだなお前。玉入れは全員参加だよな、確か」

毎年籠そっちのけでふざけて誰かにみんなで一斉に玉を投げるアレ。今年のターゲットは御幸だ。今決めた。

「そうなの。時間があったら観に来てね」
「おう。絶対行く」

面白そうだし。小羽の大玉転がし。超面白そうだし。2回言うほどに。

「部対抗リレーも楽しみだなぁ」
「俺出ねえけどな」
「えっ、そうなの?」
「おー。3年生が出る」
「あ、それも面白そう」

ようちゃんの応援が。なんて付け足す小羽。よくわかってるじゃねぇか、野球部のリレーの応援は毎年恥ずかしいってことを。まぁ今年は1年に押し付けるが。去年はキツかった。小羽がいなくて良かった。







「あー楽しみー」
「小羽」
「うん?」
「準備運動しとく?」
「如何わしいことは、たいいくさいが終わるまでしない!」
「なんで!」
「本番に響くからねっ」

何言ってんだお前、玉転がすだけだろ。アスリート気取りか。走り込みしなきゃ!じゃねぇよ。必要ねぇよ、絶対。普通に転がして普通に走ってろ。加速なんかしたらお前は、きっと…。




数週間後、体育祭本番までマジに禁欲を余儀なくされた俺はストレスを競技にぶつけ、ぶっちぎりの1位。

ついでに御幸に全力でお手玉をぶつけ、リレーの応援指導で沢村を泣かせた。

小羽はというと、本当にトレーニングをして、足が速くなったのはいいが、足と玉の速度が合わなくなり、予想を裏切らずに大玉と一緒に大回転していた。盛大に笑ってやろうと思っていたのに、あまりのぶっ飛び具合に開いた口が塞がらなかった。

体育祭が終わったら、色んなところを慰めてやろうと思う。





20120904

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