ー4ー
「サトシ…!!」
「…ママ…、みんな…。」
サトシの視線の先には危険だからと避難していたハナコ、ヒカリ、シンジ、タケシ、シロナ、ハンサムがいた。
ボロボロのサトシを見たハナコはくしゃりと顔を歪めたあと、我が子の無事を確かめるように強く抱き締めた。
「ママ…?」
「本当に無茶ばかりして…!」
「ごめんなさい…。」
「……サトシ、あなたはこれからどうするつもりでいるの?」
「おれは…。」
心配をさせてしまったことに申し訳なく思ったサトシは謝罪した。
サトシに謝罪され、サトシの無事が確認できて安堵したハナコはそれには触れず、次に一番に知りたいことを問いかけた。
「俺は…御子だから…。」
「サトシ。
そうじゃないわ。」
「え?」
「私が知りたいのは、あなたが御子としてどうしたいかじゃないの。
御子かどうかは関係ないのよ。
サトシ、あなた自身の気持ちを聞いているの。」
「………おれは…。」
「サトシ、私たちはサトシと出会えたことを後悔しないわ。
だって、私はサトシからたくさんのことを教えてもらったわ。
感謝もしてる。
だから…お願い。
御子だからなんて理由で夢を諦めないで。」
「ヒカリ…。」
「ヒカリちゃんの言う通りよ。
サトシくん。
人生は一度きりよ。
あなたの人生を、そしてあなたの夢を諦めたらいけないわ。」
「シロナさん…。」
「サトシくんの頑張りをみんなが知っている。
だから、君の夢をみんなが心から応援している。」
「ハンサムさん…。」
「…お前は俺とシンオウリーグでバトルをするんだろう?
戦う前から逃げ出すつもりか?」
「シンジ…。」
『お前の努力を認め、誰もがそれを応援している。
…サトシ。
夢を諦めるのも、諦めずに努力するのも、お前の自由だ。
…だが、あとで後悔をするような選択はするな。
それは、お前の夢を応援している者たちの思いを無駄にすることになる。』
「おれは…おれ…は…。」
仲間たちと、ホウオウの言葉にサトシはギュッと目を閉じ、拳を握った。
「サトシ。
僕たちは君と出会い、一緒の時間を過ごしてきて、仲間としての絆を深めてきたと思ってる。
サトシはそう思っていないのか?」
「そんなこと…ない…。
でも、俺は…俺のせいでみんなが危険な目に遭うなんて嫌なんだ。
大切なみんなだから、傷つくのが嫌なんだ…。」
「サトシ、僕たちも同じだ。
君が夢を諦めるのが嫌だし、君の心が傷つくのが嫌なんだ。
それは君と同じだ。」
「……。」
「…サトシ、信じて。
私たちのことを。
私たちの絆を信じて。」
「絆…。」
みんなに夢を諦めるな、と言われ…サトシは今にも泣き出しそうな表情を浮かべて、シゲルたちを見た。
シゲルたちはサトシを安心させるように笑みを浮かべ、黙ったまま頷いた。
『…サトシ、お前は絆を信じられるか?
…それとも信じられないか?
信じられないなら神域で過ごせばいい。
いや、信じられないから、迷っているのか。』
「ッ、そんなことない!!
俺はみんなのことを信じてる!!」
『……ならば、何故迷う?
信じてるからこそ、御子以外の人間に知られてはいけない神域のことを話し、自分の体に負担がかかることを知りながら神域へこの者たちを招き入れたのだろう?
ならば、答えは決まっているはずだ。』
「ホウオウ…。」
『サトシ。
お前が御子でよかった。
人間も…悪くないと知ることができた。
だからこそ、強く願う。
お前の幸せを…。』
『サトシ。
世界に愛されし子よ。
後悔しない生き方を選べ。
私たちはサトシがその選択で後悔しないと言えるものなら、その選択を受け入れる。』
「おれ…、おれは…あきらめたくない…。
みんなと…いたい…。
夢を…叶えたい…。」
仲間に、ホウオウやアルセウスに背中を押され、サトシは涙を流しながら、自分の本心を打ち明けた。
[
*←前
] | [
次→#
]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -