ー2ー
「僕は…、サトシが夢を叶えるために頑張っていたことを知ってる!!
いつでも、どんな時でもサトシはポケモンたちとまっすぐぶつかってきた!
君はサトシと会ったことがあるんだろう?
だったら、サトシが努力してきたことも、ポケモンたちとどう向き合ってきたかも知ってるはずだ!
それなのに、何故サトシに夢を諦めさせるような言い方ができるんだ!?」
『…何も分かっていないのは、お前の方だ。』
シゲルの言葉を聞いたアルセウスはため息をついたあと、そう言った。
シゲルはぴくりと眉を寄せてアルセウスを見た。
『御子の存在が知られれば、御子と関わりをもっている者も狙われることになる。
その身を危険にさらすことになる。』
「自分の身に危険が及ぶからサトシが神域で暮らすことを受け入れろと?
僕はそんなに聞き分けのいい人間じゃない!」
『お前がそうでも御子は違う。
…そうだろう?御子。』
「……!?」
何を言われてもサトシと会えなくなるなんて認めないというシゲル。
それを聞いたアルセウスはシゲルがいいと言ってもサトシは違うと言った。
そして、その言い方はまるでサトシに向かって言っているような口振りで、シゲルはサトシへ視線を向けた。
サトシは、ようやく意識を取り戻したようで、ぼんやりとした目でアルセウスを見ていた。
「サトシ…。」
「シゲル…みんな…。」
意識を取り戻したとは言っても、精神的にも肉体的にも疲弊していることに変わりはなく、サトシの声にも表情にも力はなかった。
『御子。
お前は、神域で暮らすことを望むか?
それとも、夢を叶えるためにまた旅を再開するか?』
「……おれは…。」
アルセウスに問いかけられたサトシは、瞳をさ迷わせた。
「サトシ。
僕は君が神域でこれから先を生きていくなんて、認めるつもりはないし、君がそうしたいと言っても何としても止めるつもりだ。
それだけは変わらない。
夢を諦めないでくれ、サトシ。」
「……俺が…、夢を諦めなかったらシゲルたちにも危険が及ぶことになる…。」
「それを覚悟の上で言っているんだ。
君の努力を僕は知っている。
知っているからこそ、諦めてほしくないんだ。」
「…俺のせいで…、シゲルや他のみんなが危ない目に遭うなんて…おれは…耐えられない!」
「サトシ、もし仮に僕たちに危険が迫ったとしても、何とかなるから。」
「なんでそんなことが言えるんだよ?」
サトシを説得するシゲル。
しかし、サトシはその言葉を素直に受け止めることは出来なかった。
それは大切な人たちが傷つくことを強く恐れているから。
そして、シゲルはサトシのそんな思いを理解していた。
だから、シゲルはサトシの体を強く抱き締め、口を開いた。
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