―4―
パァン、と弾けるような音が響き渡ったあと、アカギの手袋についていた赤い鎖は跡形もなく消え去った。
「……何をした…?」
「波動を使って、赤い鎖を破壊した。
そんな力、必要ない!!」
「よくも…、やってくれたな…。」
「うぐ…っ!」
赤い鎖を消され、強い怒りを露にしたアカギは目の前にいたサトシの胸ぐらを掴み、その体を持ち上げた。
地から足が離れ、苦しそうに眉を寄せるサトシにアカギは拳を強く握り…、勢いよくその拳をふりおろした。
━━パシッ!
しかし、その拳は途中で止められた。
「サトシを傷つけるなら…、絶対に許さない!!」
拳を止めたのは、シゲルだった。
アカギの腕を掴みながらシゲルは睨み付けた。
「化け物を庇うのか?」
「化け物…?
サトシのことを言っているのか?」
「他に誰がいる?
伝説のポケモンを操ることが出来るということは、世界をこの子供が握っていると言っても過言ではない。
いつか、お前もこの化け物を庇うべきではなかったと後悔することになる。」
「何を言うかと思ったらそんなことかい?
そんな日は永久に来ないよ。
逆にサトシが御子だったから、世界は存続できる。
僕はサトシが御子で良かったと思ってる。
仮に貴方のような人間が御子だったとしたら、この世界はなくなっていた。」
「……この世界は守るほどの価値はない。」
「だから新しい世界で生きようと言うのか?
好きにすればいいさ。
だけど、他人を巻き込むな。」
「くだらない。
お前たちに…、私の崇高な計画は一生かかっても理解できまい。」
「最初から理解するつもりはない。
サトシを離せ!!」
胸ぐらを掴む手を離そうとしないアカギにシゲルは強引にその手から引き離した。
「ごほっ…、ごほっ!!」
「サトシ、大丈夫かい?」
「ごほっ…ごほごほっ、う、うん…。
あり…がとう、シゲル…。」
サトシを心配するシゲルはアカギからサトシを守るように自分の後ろに下がらせ、再びアカギを睨んだ。
そしてそのすぐ後、再び何かが弾けるような音が響いた。
それはサトシがアカギの持つ赤い鎖を破壊した時と同じ音だった。
それを聞いたアカギは慌てて音のした方…、パルキアとディアルガのいる方を見た。
アカギの目に映ったのは、赤い鎖の力から解放されたパルキアとディアルガ、そして2体のポケモンを救出した伝説のポケモンたちがいた。
赤い鎖を破壊されたことに気を取られすぎていたアカギは自分の失態にギリッと悔しそうに歯を食い縛った。
「サターンたちは何をしている!?」
幹部たちの姿を探したアカギは少し離れたところでサンダー、ファイヤー、フリーザーとのバトルでかなり苦戦を強いられている様を見た。
「どうやら、勝負は決まったようだね。
…諦めるんだ。」
拳を握り、悔しそうに肩を震わせるアカギにシゲルはそう言い放った。
「お前たちが…邪魔さえしなければ…っ!
計画が台無しだ!!」
「……っ!」
「シゲルッ!危ないっ!」
野望を打ち砕かれたアカギは怒りのままにシゲルへと殴りかかった。
それに気付いたサトシは咄嗟にシゲルを庇うように両手を広げてシゲルの前に立った。
「サトシ…っ!」
衝撃にそなえてギュッと目を瞑ったサトシ。
「ぐあっ…!」
しかし、恐れていた痛みはなく、代わりにアカギの声が耳に届いた。
恐る恐る目を開いたサトシの目に映ったのはかつて、旅をしていた時に出会ったポケモンだった…。
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