―3―
「…行こう、みんな。」
顔をあげたサトシはパルキアとディアルガの方へ視線を向けながら、歩き出した。
独りじゃない。
仲間がいてくれるから。
それだけで不思議と心が安らいだ。
こんなにも心が満たされるなんて知らなかった。
「これ以上、邪魔はさせん。」
パルキアとディアルガを救おうと歩みを進めるサトシたちの前にアカギが立ち塞がった。
警戒するようにアカギを威嚇するポケモンたちを手で制し、サトシはアカギの前に立った。
「これ以上、ポケモンたちを傷つけるなら絶対に許さない。」
「何を言うかと思えば…、ポケモンたちを傷つけたのは、お前だ。」
「サトシを操っていたのは貴方だ!
サトシだって好きであんなことをしたわけじゃない!」
「意思があってもなくても、御子の力でポケモンたちが苦しんだという事実に変わりはない。
その、化け物のような力がこの事態を招いた。
そうだろう?」
「よくもそんなことが…!!」
「いいんだ、シゲル。」
嫌悪感を抱く笑みを浮かべながらサトシを化け物呼ばわりするアカギにシゲルは怒りのままにアカギに掴みかかろうとした。
しかし、それはサトシによって止められてしまった。
「サトシ!!
君は…、こんなことを言われて悔しくないのか!?」
「普通の人とは違う力があるのは事実だろ?
それに…操られていたとしてもポケモンたちを傷つけたのは俺の力のせいだ。」
「ピカピ…。」
「だから、俺は今ここにいる。
ここに満ちるエネルギーを消し去るために。」
「バカな子供だ。
まだ私の赤い鎖の力は消えてはいない。
これだけの伝説のポケモンたちを相手に私一人では太刀打ちできなくとも、時間稼ぎはできる。
簡単にここを通すと思うな!!」
赤い鎖のついた手袋をつけ、立ち塞がるアカギは手段を選んでいるつもりはないのか、伝説のポケモンたちを前にしても怯むことはなかった。
『御子、あの者は何としても我々に道を開けるつもりはないようだ。
ああいう人間は何をするか分からないぞ。』
「大丈夫。
俺があの赤い鎖の力を消す。
そのあと、みんなには隙をついてパルキアとディアルガを苦しめている赤い鎖の力から救い出してほしいんだ。」
『一人でやるつもりか?』
「俺は一人じゃない。
ピカチュウ、ブイゼル、モウカザル、ムクホーク、グライオン、ハヤシガメがいてくれる。
だから、ホウオウたちはパルキアたちのことを頼みたいんだ。」
『……わかった。』
サトシの言葉を聞いたホウオウは了承の意を示した。
また一人で無茶をするつもりなのかと思ったが、そうではないようでホウオウはサトシの言う通りにすることにした。
「だけどサトシ、どうするつもりでいるんだ?」
「大丈夫。
ここは俺たちに任せてくれ。
みんな、赤い鎖の力を消すために力を貸してほしい。」
「ブイブ!!」
「オーン!!」
「ウキャ!!」
「ムクホー!!」
「ハンガッ!」
「ピッカ!」
背後にいたピカチュウたちはサトシに頼まれ、力強く頷いた。
「邪魔をするな…!」
「ピーカチュウゥゥ!!」
「ブイー!!」
「ムクホー!!」
「グライオーン!」
「ウッキャー!!」
「ハガー!」
忌々しいと言わんばかりの表情を浮かべるアカギに向かってピカチュウたちはそれぞれ、技を放った。
「ムダだ!赤い鎖の力をナメるな!!」
しかし、サトシを救出する際と同じようにアカギはピカチュウたちの技を赤い鎖の力で相殺した。
「(…技を相殺する赤い鎖の力は、厄介だ。
…サトシ、君は一体どうするつもりなんだ…?)」
心配そうにサトシやポケモンたちを見つめるシゲルはサトシが何をするつもりなのかが分からず、困惑していた。
「━━…これで終わりだ。」
ピカチュウたちがアカギに向かって攻撃を放った瞬間、アカギの方に向かって駆け出したサトシ。
そしてアカギの前で両手を翳したあと、小さく呟かれた言葉と共に辺りに何かが弾けるような音が響き渡った…。
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