―12―
「━━サトシ…!」
パルキア、ディアルガと共に姿を現したサトシ。
しかし、サトシは相変わらずアカギに操られたままでシゲルの声に何の反応も示さなかった。
サトシに操られ、苦しそうにもがくパルキアとディアルガをアカギの指示の元、儀式の台座のような場所に向かわせるサトシ。
「シンジ、さっき言ったようにサトシを赤い鎖の力から解き放つ。
もう一度力を貸してくれないか?」
「どうすればいい?」
「アカギの注意をサトシから反らしたい。」
「…わかった。
…失敗したら許さんぞ。」
「ああ!
エレキブル!頼む!」
「もう一度いくぞ、リングマ!ドダイトス!!」
「グマーッッ!!」
「ドダーッ!」
「行け!
リングマ!はかいこうせん!
ドダイトス!!ハードプラント!!」
「エレキブル、作戦通りに頼む。」
威力の高い攻撃をしかけるシンジと、エレキブルに何か…、作戦を指示したシゲル。
「…大人しくしていればいいものを。
赤い鎖の力をを前にしながら、まだ勝てる気でいるのか!?」
シンジの指示でリングマとドダイトスがアカギに向かって放った攻撃もさきほどと同じように赤い鎖の力で消されてしまった。
「エレキブル!
かみなり!!」
「ムダだ!何度も言わせるな!!」
「……今だ!
サトシの額にある赤い鎖に向かってアイアンテール!」
「…何!?」
シゲルのエレキブルもかみなりで攻撃したが、それも赤い鎖の力で消されてしまった。
シゲルとシンジを見下すように笑うアカギ。
だが、エレキブルの背後から何か…黄色の物体が空高く飛び上がった。
そして、シゲルの指示に従い…、黄色の物体…否…、ピカチュウがサトシの額にアイアンテールで攻撃した。
「ピッカー!!
ピカピ!!」
ピカチュウがアイアンテールで攻撃をしたあと、サトシの額にあった赤い鎖は弾けるように消えた。
「━━…サトシ!!」
赤い鎖の力から解放されたサトシはそのままゆっくりと倒れていった。
それに気付いたシゲルは慌ててサトシの元に駆け寄り、その体を受け止めた。
「よくも…、私から“力”を奪ったな…!」
「サトシは道具じゃない!
サトシの力はくだらない野望のためにあるわけじゃない!
サトシはサトシの人生を生きるべきなんだ!!
そのためにこの世界に生を受けたんだ。
それを奪う権利は誰にもない!」
サトシの体を強く抱き締めながら、シゲルはアカギを強く睨み、そう叫んだ。
「……まあいい。
御子にさせるべきことはさせた。
赤い鎖の力で御子は解放されようとも、パルキアもディアルガも我々ギンガ団が開発した赤い鎖で自由は奪えた。
あとは新世界が創られるのを待つだけだ。」
「…なに!?」
不適な笑みを浮かべるアカギに眉を寄せたシゲルとシンジはアカギの後ろにいるパルキアとディアルガへと視線を向けた。
そこには赤い鎖に捕らわれるように自由を奪われ、苦しそうに声をあげるパルキアとディアルガがいた。
「…サトシを赤い鎖の呪縛から解放したのに…、なんで…?」
「御子は解放できたとしても、赤い鎖の力は何もそれだけではない。
これでもうすぐ…、もうすぐで新世界が我が手に!」
苦しそうに声をあげるパルキアとディアルガを見上げながら満足そうに笑うアカギ。
そして苦しそうにするパルキアとディアルガをどうすれば助け出せるのかが分からず、シゲルたちはただ戸惑うばかりだった。
「ピカピ…?」
そんな中、サトシを助け出したあとからずっと心配そうに見つめていたピカチュウがサトシの名を呼んだ。
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