―5―
『応えよ…。
我等の声に応えよ…。』
眠りについたはずのサトシは真っ白な空間の中にいた。
そこはここ最近、毎日見る空間で、サトシはまたかと深いため息をついた。
しかし、いつもと違い、途切れることなくその声は聞こえてくる。
昨日までは途切れていた声が今日はハッキリと聞こえる。
昨日までとは違うことに気付いたサトシは意を決して、どこにいるかも分からない声の主に向かって言葉を発した。
「お前は誰なんだ!?
なんで、最近…お前の声ばかり聞こえるんだ!?
答えろ!」
叫ぶようなサトシの声に応えるように辺りを淡い光が覆い尽くした。
まばゆい光にサトシはギュッと目を閉じた。
『━━…サトシ。』
「………?」
目を閉じていたサトシは自分を呼ぶ声に恐る恐る、その目を開いた。
サトシの目に映ったのは、淡く輝く人型の光。
サトシは眉を寄せてその光を見つめた。
『…やっと…、我等の声が届いたか…。
サトシ、我等は…かつて、“伝説の御子”と呼ばれていた存在だ。』
「…伝説の…、御子…?」
首を傾げるサトシの疑問に応えるように再びその光は言葉を発した。
『伝説の御子は、伝説と呼ばれるポケモンを引き付ける存在。
まるで磁石のように伝説のポケモンたちは引き寄せられる…不思議な力を持つ存在だ。』
「伝説のポケモンたちが!?
そんな人がいたのか…。
……でも、俺には関係ない話だよな?」
『関係がない…?
…お前は今の時代に生まれた伝説の御子だ。
関係ないことなどない。』
「だろ?
俺が知りたいのは、何で俺が最近、同じ夢ばかりを見るのかってことで…。
……………………、…って俺!?」
光が放った言葉にサトシは驚きの声をあげた。
困惑するサトシに光は更に言葉を続けた。
『心当たりがあるはずだ。
今まで幾度となく伝説と呼ばれるポケモンと出会っているだろう?』
「…あ…。」
心当たりがあるはずだと言うその言葉にサトシはハッとした表情を浮かべた。
『力が目覚めていなくとも、伝説のポケモンたちは伝説の御子に引き寄せられる。
そして、伝説の御子には波動を自在に使うことも出来る。』
「でも、俺には…」
『力が目覚めし時、波動の力も手にすることが出来る。
サトシ、お前に伝えねばならないことがある。』
真剣な雰囲気を漂わせるその光にサトシは困惑しながらも、その目はしっかりと目の前にいる光に注がれていた。
[
*←前
] | [
次→#
]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -