―11―
「御子が神域に向かえば、そこでポケモンたちを操ることができるようだな?
更に神域に行ける人間は御子のみ。」
「アイツを…サトシを神域に向かわせて、そこにいるパルキアやディアルガを操って…、ここに連れて来させるつもりか。」
「その通りだ!
ククク…。
予想外の出来事は起きたが、どうやら天は私に味方したらしいな!」
「新世界とやらを創るためか?」
「長かった。
このためにどれだけの時間と労力をつぎ込んだことか…。
御子は新世界でも丁重に扱うつもりだ。
安心して、身を引くべきだと思うが?
自分の命を失いたくはあるまい。」
「サトシをまだ物のように扱う気でいるのか!
それを聞いた僕たちが黙って身を引くとでも思っているのか!?」
「お前のくだらない野望にアイツを巻き込むな。
お前が新世界の神になろうがなるまいが俺には関係ないが、アイツを巻き込むというなら、黙ってない。
…俺はアイツとシンオウリーグで戦って勝つつもりだ。
それを妨害されてたまるか。」
シゲルもシンジもモンスターボールを手に、アカギと対峙した。
「死に急ぐとは、愚かな子供たちだ。
ならば、近くで私の野望が叶う瞬間を目にして消えていくがいい。」
一歩も引こうとしないシゲルとシンジにアカギは心底おかしそうに笑った。
「…どうするつもりでいる?」
「僕に考えがある。」
「考え…?」
「サトシを助け出すのに、あるポケモンの力を借りる。
シンジには、それをサポートしてもらいたいんだ。
僕もサトシを救い出すために全力で戦う。」
「…わかった。」
「行け、ブラッキー!カメックス!!」
「リングマ、ドダイトス、バトルスタンバイ!」
高らかに笑うアカギを睨みながらシゲルとシンジはモンスターボールからポケモンを繰り出した。
「カメックス、ハイドロカノン!
ブラッキー!アカギに向かって走るんだ!」
「リングマ、はかいこうせん。
ドダイトス、ハードプラント。」
アカギに向かって攻撃技を指示したシゲルとシンジ。
対するアカギはポケモンを出そうとはせず、不適な笑みを浮かべながら手を前につきだした。
「赤い鎖の力をナメてもらっては困る。
その程度の攻撃など、簡単に防げる。」
シゲルたちが指示した攻撃技は赤い鎖の力を宿した手袋が赤く光ったかと思えば弾けるように消えた。
余裕な表情を浮かべるアカギだったが、シゲルはニヤリと笑ったあと、口を開いた。
「…そうくると思っていたよ。
ブラッキー!至近距離で、赤い鎖に向かってシャドーボール!」
「なに!?」
予想外の攻撃にアカギは目を見開いた。
カメックス、リングマ、ドダイトスの攻撃を消し、わずかに威力が弱まった隙をついたシゲル。
━━…しかし…。
アカギの周りの空間が突然歪み、ブラッキーはその時に発した強い衝撃に飛ばされた。
「…ブラッキー!!」
岩に体を打ち付け、倒れたブラッキーの元に慌てて駆け寄ったシゲルはブラッキーが戦闘不能になっていることに気付き、ありがとうブラッキー、と声をかけたあとモンスターボールの中にブラッキーを戻した。
「…間に合わなかったか…。」
歪んだ空間から姿を現したのは、パルキアとディアルガ、そして……サトシだった。
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