―8―
「この先にサトシはいるんだね?」
「ムクホー!!」
アカギたちが予想外の展開に戸惑う中、シゲルたちはムクホークの案内を元にサトシを救出するために必死に駆けていた。
このままアカギに操られたままの状態が続けば、サトシが後々に傷ついてしまう。
「でも…サトシを操って…どうするつもりなのかしら?」
そんな中、ヒカリは頭に浮かんだ疑問をぽつりと呟いた。
そしてヒカリの言葉にシロナはギュッと拳を握ったあとに口を開いた。
「考えられるとすれば、サトシくんの力を使ってパルキアやディアルガに何かをさせようとしているのかもしれない。
私の故郷にはパルキアやディアルガの力を使えば違う星を創ることもできると伝えられているの。」
「この世界とは違う星ということですか?」
「ええ。
サトシくんの力を使えば難しいことではないと思うわ。
…サトシくんの力なら仮にパルキアやディアルガがそれを拒絶したとしてもその意思は関係がないものになる。」
「サトシはそんなことをするような人じゃないわ!」
「だから赤い鎖の力で操っているということか…。」
「急ごう!
ギンガ団の思い通りにさせてしまったら大変なことになる!」
シロナから聞かされた話にシゲルたちは走る速度を一気にあげた。
『━━聞け、御子の仲間たち。』
「…!!」
速度をあげたシゲルたちは今日、何回か聞いた声に思わず足を止めた。
「アルセウス…?」
『御子の力を感じた。
どうやら、パルキアとディアルガを自分の元に来させようとしたようだ。』
「じゃあやっぱりシロナさんの言う通り、ギンガ団の目的はパルキアとディアルガ?」
『…ある程度の予想はしていた。
だから御子の力を使われる前に神域にパルキアとディアルガを呼び寄せた。』
「つまり、パルキアとディアルガは操られてはいないんだな?」
シンジの言葉にアルセウスはため息まじりに言葉を発した。
『だが、御子が神域の存在をギンガ団に教えた場合、意味がない。
ギンガ団が御子を使い、神域に向かい、パルキアとディアルガを操った場合…、神域へ呼び寄せた意味がまるでない。
御子が神域に来ればパルキアもディアルガも簡単に操られてしまう。
それを避けるためにも一刻も早く御子をギンガ団の魔の手から救い出さなければ取り返しがつかなくなる。
急げ、御子の仲間たち。
取り返しがつかない事態になる前に御子を救い出せ。』
「わかった!
神域の存在を知られる前にサトシを助け出すよ。
…必ず…!!」
アルセウスの言葉にシゲルたちは再び駆け出した。
神域のことを深く知らないシゲルたちでさえも、強く思った。
━━…あの場所を汚されるような事態だけは避けねばならない、と。
だから必死に走った。
***
「…赤い鎖の呪縛から御子を解き放つ。」
「アカギ様…!?」
「解き放ってしまえば、せっかく手に入れた神をも操る力を手放すことになります!」
「話は最後まで聞け。」
「は、はい。
失礼しました。」
そして…、アルセウスが心配していた事態が起こってしまうことをまだシゲルたちは知らないままだった…。
[
*←前
] | [
次→#
]
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -