―4―
「ウソ…。」
シゲルたちは自分達の目の前に現れたポケモンを見て、驚きに目を見開いた。
「エンテイ…。」
「ライコウ…。」
「スイクン…。」
そう…、サトシの力で呼び寄せられたのはエンテイ、ライコウ、スイクンだった。
赤い鎖に操られているサトシの影響を受けているのか、エンテイたちは同様に苦しそうに唸っていた。
シゲルたちに強い殺気を放ったまま。
「どうだ?
御子の力はギンガ団のものになったのだと言うことを理解したか?」
「どうしてこんなヒドイことをさせるの!?
エンテイたち…、苦しそうじゃない!
こんなこと…、やめてッ!」
「仕方あるまい。
赤い鎖の力に抗いつつも、それが無抵抗も同然なのだ。
苦しむのは当たり前のことだ。」
「サトシ!
目を覚まして…!
負けないで、サトシ!」
「そうだ、サトシ!
俺達の声が聞こえるか!?
聞こえているなら…、自分の意志を強く…!」
「無駄だ。」
必死にサトシに呼びかけるヒカリとタケシ。
しかし、アカギはタケシの言葉を遮り、無駄だと一刀両断した。
「赤い鎖の力で、今の御子は意志も心も…、全て封じられている。
お前たちの声など、カケラも届いてはいない。」
「そんな…!」
「その前に自分達の心配をしたらどうだ?
3体の伝説のポケモンを前にどう戦うつもりだ?」
「アカギ様、そろそろ例の場所へ向かった方がよろしいかと。」
「そうだな。
ずいぶんと無駄話に時間を割いてしまった。
…せいぜい神の力に抗おうと足掻き、神の力を前に平伏すがいい。」
そう言うと、アカギはサトシと共にヘリコプターへと乗り込んだ。
「━━…サトシッ!」
息子の乗るヘリコプターに向かってハナコは必死に名前を呼んだ。
しかし、その声はヘリコプターの音に掻き消され…、無情にもヘリコプターは飛び去っていってしまった…。
「…サトシ…、どうしてサトシがこんな目に遭わなきゃいけないの…?」
ギンガ団と共に空の彼方へ消えたサトシに、ヒカリは悲しそうに顔を歪めながら、ぽつりとそう呟いた。
そんなヒカリにタケシはそっと肩に手を置きながら口を開いた。
「ヒカリ、今は悲しんでる場合じゃない。
エンテイたちを何とかしないと…。」
「でも、どうやって…?
1体だけならともかく、3体もいたんじゃ私達に勝ち目なんて…。」
「戦う前から逃げ出すのか、お前は。」
「シンジ…。」
「あのバカを助けると決めたなら最後まで戦うことを諦めるな。」
「…うん…。
そうね…。」
シンジの言葉に後押しされたのか、ヒカリは行く手を阻むように立つエンテイたちを見上げた。
『御子の仲間たちよ。』
その時だった。
シゲルたちの脳内に響くように聞き覚えのある声がしたのは…。
「この声は…。」
「アルセウス…?」
『今、3体のポケモンに協力を頼んだ。
そのポケモンたちと協力し、エンテイたちを呪縛から救ってやってくれ。』
「アルセウス…、力を貸してくれるのかい?」
『言ったはずだ。
出来る限り力を貸す、と。
御子も…、そしてエンテイたちも赤い鎖の力に苦しんでいる。
助けてやってほしい。
御子が赤い鎖の力で操られているうちは神域から出ることは出来ないが、まだ御子の力で操られていないポケモンたちに協力を仰ぐことはできる。
…御子のこと、頼む。』
「ありがとう…、アルセウス。」
アルセウスが力を貸してくれたことに感謝の言葉を返したシゲル。
それと同時に3体のポケモンの雄叫びが響いた。
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