―3―
「…こんなことしかできなくてごめんなさい、ママ。」
そう言うと、サトシはハナコをシゲルたちのいる神域へ送った。
本来なら、自分も一緒に神域へと飛べばいいのだが、いつギンガ団が攻撃をしかけてくるかも分からない状況では、ハナコを1人送るのが限界だった。
「自らその身を差し出すとは潔いことだ。」
「…うる、さい…ッ!」
ニヤリと笑いながらサトシを見るアカギにサトシは苦しそうに眉を寄せ、地に膝をつけながらも、そう返した。
「息があがっているようだな。
お前が母親をどこに送ったのかは知らんが、そうすることでお前の身体に強い負担となって返ってくるようだな。」
「…俺は…、ギンガ団なんかに力を貸すつもりは…ない…!」
「…無駄な足掻きだな。」
「…なに…?」
サトシが協力するつもりはないと言っても、アカギはそれをものともせず、片手をあげた。
アカギのその仕草を見たサターンは黙って頷くと、アジトの奥へと消えた。
良からぬ気配を感じ取ったサトシは思うように動かない体を叱咤し、立ち上がろうとした。
「マーズ、ジュピター、押さえ付けろ。」
「了解。」
「大人しくしなさい!」
「離せ…ッ!」
アカギにサトシを押さえ付けるように指示されたマーズとジュピターはサトシの体を地に押し付けた。
思うように動かない体では、抵抗をしたところで大した意味を持たず…、サトシは呆気なく押さえ付けられた。
「アカギ様、お持ちしました。」
「ご苦労。
手筈通りにやれ、サターン。」
「はっ!」
アカギとサターンの会話を聞いたサトシは何かを持ってきたのだろうということには気付いた。
だが、押さえ付けられた状態ではそれが何なのかを確認することは出来なかった。
「これでお前はアカギ様の命令に忠実に従う人形だ。」
「うっ…!
……ッ!!
それは…!」
押さえ付けられていたサトシはサターンが言った不吉な言葉を耳にすると同時に髪の毛を掴まれ、強引に上を向かされた。
上に向かされたサトシはサターンの手にある物を見て目を見開いた。
“それ”を見たサトシは強い胸騒ぎに襲われた。
「いやだ…ッ!
やめろ…、離せ…離せェェエェェ…!!」
「無駄よ。
私達に押さえ付けられているのに、逃げられるとでも思ってるの?」
「本当にバカね!」
「う、や…だ…!
あぁあぁああぁあぁあーーーッ!!」
サターンが持ってきたものを強引に額へと押し込まれたサトシ。
それと同時に自分の意識が何かに掻き乱されるような感覚を覚えて悲鳴をあげた。
「さあ、御子よ。
私に従え!」
「…あ…、うぁあぁ…ッ!
いやだ…、いや…だ…!
……みん…な…、ごめ…、おれ…、ごめん…なさ…。」
アカギがサトシに言葉を発すると同時にアカギの手に装着している手袋が赤く輝きを増した。
その輝きが増せば増すほど、サトシの額に押し込まれたものも赤く輝いた。
それに少しずつ意識を奪われ…、サトシは謝罪の言葉を口にしたのと同時にそのまま意識を失った。
「…アカギ様、気絶したようです。」
「目を覚ました時には私に従う人形だ。
ククク…。
赤い鎖の力には御子といえども逆らえはしない。
これで野望は果たされる!」
意識を失い、地に横たわるサトシを見つめながらアカギは満足げに笑った。
***
「赤い鎖…?」
「そうだ。
これさえあれば御子の力は思いのままに使える。
御子よ、彼等に挨拶代わりにその力を見せてやれ!」
「………………。」
アカギの言葉と共にサトシは意識を集中させるために目を閉じた。
「……なッ、何…!?」
「何か…強い力のようなものを感じる…。」
「一体何…!?」
サトシが目を閉じると、シゲルたちは訝しげに眉を寄せた。
そのすぐあとに強い力のようなものを感じて、シゲルたちは辺りを見回した。
「あ…、あれよ!」
辺りを見回していたシロナはある一点を指差して声をあげた。
「あれは…!!」
シロナの視線を追ったシゲルたちはその先にあるものを見て、目を見開いた。
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