―4―
旅を続けるサトシたちは、とあるポケモンセンターにいた。
そのポケモンセンターで一晩を明かすことにしたサトシたちはベッドのある寝室で談笑していた。
ピカチュウは楽しそうに笑うサトシをジッと見つめていた。
今のサトシを見る限り、悩んでいるようにも疲れが溜まっているようにも感じられない。
ピカチュウは心配そうな表情を浮かべながらサトシを見つめていた。
「ピカピ…。」
小さく呟かれた言葉は不安そうだった。
談笑していたサトシたちはピカチュウの異変に気付き、会話を中断してピカチュウへと視線を向けた。
「どうしたの、ピカチュウ?」
「何か…様子が変だな…。」
「ピカピ、ピッカピカ!ピカチュウ!」
「…ピカチュウは何かを伝えたいみたいだな。」
「ピッカピカ!ピカピ、ピッカー!」
必死にサトシのことを伝えようとするピカチュウ。
タケシたちもピカチュウが言いたいことを理解しようとピカチュウをジッと見つめながら耳を傾けるが、何を言いたいのか、まるで分からない。
こういう時にいつもピカチュウは思う。
人間の言葉が話せたらいいのに、と。
「ピカチュウ、眠いのか?
タケシ、ヒカリ、そろそろ寝ようぜ!」
「…でもピカチュウが…。」
「俺も眠いし、明日も早いし、早く寝ようぜ!」
「う、うん…。」
必死に何かを伝えようとするピカチュウの言葉を遮ったサトシの言葉にタケシもヒカリも少々納得がいないような表情を浮かべながらもふとんの中へと潜り込んだ。
「ピ!?
ピカー、ピカチュウ!」
「ピカチュウ、ほら、お前も寝るんだ。」
「ピカピ!ピカピカピカチュウ!」
「…ごめんな、ピカチュウ。
…大丈夫だから。」
頭を振りながらサトシの服の裾を掴み、引っ張るピカチュウを見たサトシは優しく頭を撫でた後、ピカチュウにしか聞こえない声で謝罪の言葉を述べた後、「大丈夫だ」と告げた。
笑みを浮かべるサトシの言葉にピカチュウは眉尻を下げて主人の顔を見上げた。
ベッドの上で手招きするサトシにピカチュウはとぼとぼとサトシの元へと向かった。
「さ、もう寝るぞ。
おやすみ、ピカチュウ」
ゆっくりと目を閉じ眠りについたサトシにピカチュウは心配そうな表情を浮かべながら、サトシがゆっくり休めるようにと願いながら、眠りについた。
***
「心配してくれて、ありがとう…ピカチュウ。」
ピカチュウが寝息を立てて眠りはじめると、目を閉じていたサトシはそっと目を開き、ピカチュウの頬を撫でながら小さくそう呟いた。
そして、今日もまた見るかもしれない夢に少し怯えながらサトシも眠りについた。
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