―6―
『サトシが消えた…?』
サトシが神域から姿を消してからすぐ、ホウオウはアルセウスの元に向かい、報告した。
『…何かを感じ取ったように感じた。』
『何かを…?
…サトシは御子として目覚めている。
波動の流れを自在に感じ取り、探ることも造作もない話だ。
…話の流れからして、サトシと縁の深い者に何かあったのかもしれないが…。』
「サトシの知り合いが狙われたってこと!?」
アルセウスとホウオウの会話に黙って耳を傾けていたシゲルたち。
アルセウスの推測を聞いたヒカリはたまらず、会話に割って入った。
『…可能性は高い。
サトシならば、大切な者を守るためにその身を投じることなどいとわないだろう。』
『…あの御子はそのような無鉄砲な者なのか?』
「無鉄砲も何もいつでもポケモンのためなら傷つこうが構わないって感じ…かな。」
「見てるこっちは寿命がどれだけ縮んでることか…。」
「そんなサトシくんだから、人もポケモンも自然に集まるのよね。」
「…バカ正直なんだよ、アイツは。」
『…………。』
シゲルたちの言葉をホウオウは黙って聞いていた。
シゲルたちの会話からも、サトシは周りの人間やポケモンに愛されているという事実を目の当たりにした気がした。
「だけど、サトシが誰かを助けに行ったってことは罠である可能性は高いわ。」
「だとしたら、すぐに助けに向かわなければサトシくんが危ない!」
「全くジャリボーイは世話が焼けるわね!」
「全くだ!
いつも無茶して俺達の邪魔ばかりして、本当に困った奴だ!」
「コジロウ、会話が噛み合ってないニャ。」
「とにかく助けに行こう!」
『御子が神域にいない今、お前たちを元の世界に戻せるのはホウオウだけだ。』
「え!?
じゃあ、すぐに戻して!
お願い、ホウオウ!」
『…それは出来ない。
お前たちは神域のことを口外しかねない。
神域を汚される可能性がある者を外に出すわけにはいかない。
お前たちは永遠にこの神域で暮らし、我々の監視化におかせてもらう。』
「今はそんなことを言ってる場合じゃない!
サトシが狙われてるのに、神域がどうとか言ってる場合じゃないことくらい分からないのか!?」
「アイツなら無茶をしかねない。
万が一にでも、奴らの手に渡るようなことになったらどうするつもりだ?」
「サトシのことが心配じゃないのか!?」
「汚されるのが心配だって言うなら、サトシを助け出してからここに戻ってくるわ!
それなら文句はないでしょ!?」
ホウオウの言葉にシゲルたちは真っ向から反抗した。
誰の瞳にもサトシを強く心配する強い想いを感じ取ることができた。
[
*←前
] | [
次→#
]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -