―3―
「ハァ…、ダメだな…俺…。」
川に向かって歩きながらサトシはため息をついていた。
同じ夢を見るようになってからサトシは眠れない日々を過ごしている。
夢が何なのかも分からず、仲間たちに心配をかけまいと元気に振る舞っていたが、疲労もピークに差し掛かっているのか元気に振る舞うことがきつくなってきていた。
「…こんなところでへこたれてる場合じゃないんだ!
…ピカチュウも心配してるみたいだし…。
……ジム戦に備えてまた特訓しなきゃな!」
頬を両手で叩き、自分に喝を入れたサトシは川辺に向かって駆け出した。
***
「…首尾はどうなっている?」
ここは、とあるビルの中。
研究所を思わせるそのビルの部屋の一室には深いイスがあり、そこにこしかけていた男は入口近くに立つ人物にそんな言葉をかけた。
「はっ、いくつかの文献の解読をしたところ、“伝説の御子”と呼ばれる存在がいるようです。
その者は伝説のポケモンを引き付ける力があり、波動も使えるとのことです」
「“伝説の御子”か。
面白い…。そんなおあつらえむきな者がいるとはな…。
私の野望のためにはなくてはならない存在だな。」
「どうしますか?」
「…決まっている。
その“伝説の御子”はこの世界のどこかにいるのだろう?」
「はい。
“伝説の御子”は世界に1人だけ存在しているようです。
時代がどんなに変わろうとも必ず存在すると、文献に記されています。」
「ククク…、すぐに捜し出せ!
“伝説の御子”ならば、すでに伝説のポケモンと何度か接触しているはずだ」
「はっ!」
イスに腰掛けていた男は…机の上で手を組みながら笑みを浮かべた。
「必ず…、必ず手に入れてみせる…。
我が野望のために必ず…。」
静かな部屋にその声は強く響き渡っていた…━━。
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