―3―
「…あ、アルセウスが来る。」
1時間ほど経った頃、サトシがいきなり立ち上がり、そんな言葉を発した。
そして、その言葉のすぐあと、神域に光が集まりだし光が集束したあと、サトシたちの前にアルセウスが姿を現した。
「アルセウス!」
『サトシか…。
…やはり、サトシが御子だったか。』
「え?
予測してたのか?」
『…何となくではあるがな。
…御子…、何故…人間が神域にいる?』
「みんなを守るために必要だったんだ。」
『…この場所がいかに神聖で大切な場所か、分からないわけではないだろう?』
「…俺は悪いことをしたとは思ってない。
だけど、アルセウスが納得出来ないって言うならどんな罰でも受けるつもりだ。」
「サトシ!?」
『……変わらないな、お前は。
…神域を荒らさないこと、この場所のことを口外しないこと。
それさえ守れば、何も言わない。
だが、何故私を呼んだ?』
「俺の力をギンガ団が悪用して何かをしようとしているみたいなんだ。
だから…、ギンガ団と戦うために、伝説のポケモンたちの力を借りたいんだ。
それを許してほしい。」
『御子がこの神域にいれば、狙われることはない。
わざわざ戦いに持ち込もうする理由はなんだ?』
「俺が神域にいるくらいじゃ、ギンガ団の野望を完全に阻止できないと思うんだ。」
『…ならば、ホウオウを説得してみせよ。
ホウオウは人間を強く拒絶している。
人間の醜い争いを見て、信じるに値しないと判断している。
そのホウオウが力を貸すというなら、好きにするがいい。
だが、御子。
仮にギンガ団を退けたところで御子の力を狙う悪しき者はまた現れるぞ。』
「…ギンガ団のことが片付いたら俺はこの神域で暮らすつもりでいる。
だから心配しなくても大丈夫だ。」
「ちょっと待つんだ、サトシ!!
君は…その言葉の意味を理解して言っているのか?」
「わかってるよ。」
「わかってない!
君は今…、夢を諦めると言ったようなものなんだ!」
「分かってるって言ってるだろ!!」
「━━━…ッ!!」
サトシが声を荒げたことに驚いてシゲルは目を見開いて固まった。
「サトシ…?」
「シゲルや…みんなに…、俺の何が分かるって言うんだよ?」
「だけど、シゲルの言う通りだ!」
「そうよ、サトシ!
今まで夢を叶えるために頑張ってきたじゃない!」
「何も知らないくせに偉そうなこと言うなよ!
…俺が…、どんな思いで…。」
「サトシ…。」
「…ホウオウのところに行ってくる。」
「あっ…!
サトシ…!」
シゲルたちと一緒にいることに耐えられなくなったのか、サトシは逃げるようにその場を後にした。
シゲルたちはただ、その背中を見つめることしか出来なかった…。
[
*←前
] | [
次→#
]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -