―2―
「ホウオウが人間を嫌っているという話は有名だけど…、あそこまで人間を強く拒絶しているとは思いもしなかった…。」
「…俺達なんか、終始睨まれっぱなしだったよな…?」
「怖かったニャー…。」
「もしかしなくても、私達って場違いなんじゃないの?」
「大丈夫だって。
ホウオウも言ってただろ?
神域を荒らすなって。
それさえしなければ、いきなり攻撃してくることなんてないと思うぜ?」
「何を言ってんのよ!
あの部屋に入った瞬間に攻撃してきたのよ!?」
「そうだそうだ!
ミュウツーが守ってくれなかったら俺達は今頃…黒焦げだった!」
「え?
そうだったのか?
……そっか…。
じゃあ神域を荒らさず、俺のそばにいてくれ。
それなら何かあってもみんなを守れるから。」
「ジャリボーイ…!!
本当に頼んだわよ!?」
「わかったから、そんなに近付くなって!」
サトシの言葉にムサシたちは必死の形相で迫った。
あまりの必死さにサトシは若干引きながらも頷いた。
『だが、御子。
いつまでも神域にいるわけにはいかない。
どうするつもりでいる?』
「…みんなに頼んで、ギンガ団と一緒に戦うつもりだ。
俺だってずっとみんなを神域に閉じ込めているつもりはない。
…みんなを神域に集まるように頼むつもりだけど…その前に…。」
『アルセウス、だな?』
ミュウツーの言葉にサトシはこくりと頷いた。
「いくら俺が御子だとしても、伝説のポケモンたちをアルセウスに何も言わずに戦いに連れていくわけにはいかない。
だから、まずはアルセウスに話をしないと…。」
「…サトシ、僕は君が何を言おうとも、この戦いに参加させてもらうよ。」
「Σ…シゲル…!?」
サトシとミュウツーの会話を遮り、シゲルはそんな言葉を発した。
その内容にサトシは驚いたように目を見開いた。
「君のことだから、僕達をこの神域に残して、自分だけ戦いに身を投じようとしているんだろう?
僕達がそれに納得しないだろうことも考えて、それも言わないつもりだった。
違うかい?」
「━━……ッ!
…だけど、これ以上みんなに迷惑をかけるわけには…!」
「…お前は言ったな。
…伝説のポケモンでも、この星に生きる仲間だと。
お前もそうだろう?
俺はこんな安全な場所に隠れているつもりは毛頭ない。」
「シンジ…。」
「サトシ、私達も協力させて?
私は…、私達は仲間なんだから!」
「ヒカリ…。」
「サトシ、1人で戦おうとするな。
俺達はそんなことをされても嬉しくない。」
「タケシ…。」
「私だって、仲間たちと共に戦うわ。
最初から逃げつづけるつもりなんてなかったわ。」
「シロナさん…。」
「決着をつけるなら、微力ながら助太刀させてもらうよ。」
「ハンサムさん…。」
「もう!
何だって言うのよ!
カッコつけちゃって!悪役にはそんなの似合わないってのよ!」
「まあまあ、…なんだかんだ言って、ジャリボーイとの付き合いは長いんだし、たまには協力しあうのもいいんじゃないか?」
「ここにいても、ホウオウが怖いだけだニャー!」
「ロケット団…。」
シゲルを筆頭に共に戦うことをサトシに告げる面々にサトシはぐっと涙をこらえるために俯いた。
『どちらにせよ、アルセウスには事の次第を含めて報告しなければならない。
それまでは身動きは取れないことに変わりはない。』
「そうだな…。
みんな、アルセウスが帰ってくるまでは身動きは取れないから、その間だけでもここにいてほしい。」
「…アルセウスはいつ帰ってくるの…?」
「それは何とも言えないけど、アルセウスに早く神域に帰ってきてほしいって思いを波動で伝えたからそんなに時間はかからないと思う。」
「そう…。」
「それまでは、ゆっくり休んでてくれ。
アルセウスが神域に近付いてきたら波動で分かると思うから。」
サトシの言葉にその場にいる全員が頷いた。
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