―1―
「ここは…?」
『“神殿”と呼ばれる場所だ。』
「神殿…。」
『この先だ。』
ミュウツーに促されるまま、シゲルたちは神殿の中に足を踏み入れた。
その瞬間…、何か神々しさを感じる雰囲気に襲われたような気がして、シゲルたちは無意識のうちに顔を見合わせた。
きっとこの先にいるポケモンがそれを感じさせているのだろう。
『入るぞ。』
神殿の中を少し歩いたあと、ミュウツーはある扉の前で足を止めた。
その扉の先にミュウツーが会わせようとしているポケモンがいるのだと知って、シゲルたちは無意識のうちに体に力を入れた。
そして…、ゆっくりとその扉は開かれた。
それと同時に強い熱がシゲルたちを襲った。
『ずいぶんな挨拶だな。
━━………ホウオウ。』
突然のことで状況を理解できず、呆気に取られるシゲルたち。
そんな中、ミュウツーはため息まじりにそう呟いた。
ミュウツーの言葉にシゲルたちは突然襲い掛かってきた強い熱はホウオウが自分達に攻撃してきたからだと、そしてその攻撃から自分達を守ってくれたのはミュウツーだと簡単に察することができた。
『…御子以外の人間が何故、この神域にいる?
私はこの神域を守るために仇なす者は始末しなければならない。
もとより、御子以外の人間は好かない。』
『その御子が信じている人間だ。』
『…御子の意識がないのも、そこにいる人間たちのせいだろう?
ミュウツー、何故…御子以外の者を連れてくることを許可した?』
『止めはした。
だが、聞こうとしなかった。』
『…………御子をこちらへ。』
ただ、ミュウツーと…ホウオウの会話を見つめていたシゲルたち。
シゲルたちはあそこまで強い拒絶や憎しみを向けられたことはなく、石のように固まっていることしか出来なかった。
少しの間、会話を交わしたミュウツーとホウオウ。
そんな中、ホウオウはミュウツーにサトシを連れてくるように言った。
ミュウツーもホウオウが何をしようとしているのかを理解したのか、ホウオウの前にサトシの体をそっと横たえた。
自分の前に横たわるサトシを見たホウオウは虹色に輝く翼を広げた。
それと同時にホウオウの周りに虹色の光が降り注いだ。
━━…否、虹色の光だと思っていたそれは、ホウオウの羽根だった。
「う…。」
そしてそのすぐあと、意識を失っていたサトシはうめき声をあげた。
その声にその場にいる者の視線はサトシへと注がれた。
『気がついたか。』
「………ホウオウ…なのか…?」
『…御子、1つ聞く。
何故…、神域に御子以外の人間を招いた?
御子としての力に目覚めているなら、神域がいかに大切な場所であるか、分かっているはずだ。』
「みんなは信用できる。
だから、ここに連れてきたんだ。」
『…人間は好かない。
すぐにこの場から立ち去れ。』
「ホウオウ!」
『……少し眠る。』
「……ハァ…。
みんな、少し神殿の外に出よう。」
取り付く島もないホウオウの態度にサトシはため息をこぼした後、シゲルたちに外に出るよう言った。
シゲルたちも、ホウオウを気にしながらも、神殿の外へと出た。
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