―9―
「約束…?」
サトシの言葉にタケシが不思議そうな表情を浮かべながら聞き返した。
「今からみんなに案内する場所は本来…、俺みたいな伝説の御子として生まれた人間しか知ることのない場所なんだ。
俺と…、伝説のポケモンたちしか知らない場所。」
「そんな場所が…あるのか?」
シンジの言葉にサトシは強く頷いた。
「今から案内する場所は今まで生まれ…、死んでいった伝説の御子たちが守ってきた神聖な場所なんだ。
だから、他言するのは絶対にやめてほしい。
必死に生きてきた伝説の御子たちの思いを汚すような真似はしないでほしい。」
「そんな大切な場所に私達を案内しても大丈夫なの?」
「みんなを信用してるから案内できるんだ。
ここにいるみんなは自分の危険も顧みず俺のことを助けにきてくれた人達だから…。
だから、今度は俺がみんなを助けたい。」
「助けたいって…狙われてるのはサトシ、君なんだよ?」
『わかっていないな。』
シゲルの言葉にミュウツーはため息まじりに呟いた。
『お前たちが伝説の御子と関わりを持っていると奴らが知っている以上、お前たちも狙われる対象になることが分からないのか?』
「どういうこと…?」
「ヒカリ、今回…サトシがギンガ団に捕まった原因は何だったか考えればわかる。」
ミュウツーの言葉の意味が理解できず、首を傾げるヒカリにタケシは諭すように言った。
「…捕まった原因…。
…!あ…っ!」
「そう、また俺達を人質にサトシをおびき出そうと考える可能性は高い。
サトシはそれを恐れているんだろう。」
「そうだったの…。
サトシ…、でも…本当にいいの?
だって、その場所は大切な場所なんでしょう?」
「だから約束してほしい。
これから向かう場所を他言しないって。」
『もっとも、あの場所へ行くには御子の力が必要だ。
…だが、場所を知られるというだけであの場所を汚される可能性は否定できない。』
「…だから約束をしてほしいってことか。
だが、そんな口約束ていどでいいのか?」
「みんなを信用してるからこそ、言えることなんだ。」
シンジの言葉にもサトシは真剣に見据えつつ、そう返した。
信頼していなければ、話はしない。
サトシの顔を見ているとそんな思いが伝わってきた。
「わかった。」
「他言しないと約束するわ。」
「サトシの信頼を裏切るような真似はしないよ。」
「今はその場所が一番安全なんだろう?
…約束する。」
「私も約束するわ!」
「そうだな。
サトシがここまで言ってくれたんだ。
必ずその約束は守るよ。」
真剣なサトシの言葉にその場にいる全員が強く頷き、約束を守ると告げた。
「ありがとう。
じゃあ…、みんな、目を閉じて。」
サトシに言われ、シゲルたちは静かに目を閉じた。
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