―8―
「ミュウ!ミュウツー!」
ほどなくして…、サトシたちの元にミュウとミュウツーが姿を現した。
それに気付いたサトシは心配そうな表情を浮かべながら慌てて駆け寄った。
近くまで駆け寄ったサトシはミュウとミュウツーに大きな怪我がないことを確認するとサトシは心配そうな表情から安心した表情に変えた。
「ミュウ、ミュウツーを助けてくれてありがとう。」
「ミュッ!」
『お前も…救援を呼ぶなら別の奴にすればいいものを…。』
「どうせなら、ミュウツーのことを知ってるポケモンに助けてもらった方がいいだろ?
あの時は戦ったけど、最後は和解したんだし…。」
『…あの時の記憶は消したはずだったが…?
それも御子の力が目覚めた影響か?』
「うん。」
『あの時といい、今回の時といい、…お前は無茶ばかりだな。』
「あの、さ…話し込んでいるところ悪いんだけど…追っ手の心配はないのかい?」
話し込むサトシとミュウツーの会話をただ聞いていたシゲルたちだったが、さすがにいつ追っ手が来るかも分からない状況でいつまでも傍観しているわけにもいかず、シゲルはミュウツーに向かってそう問いかけた。
『ミュウと共にあらかたの邪魔者は倒してきた。
しばらく追っ手は来ないだろう。』
「そっか…。良かった…。」
「だったら、今のうちに少しでも安全な場所に移動した方がいいわ。」
ミュウツーの言葉に安堵するシゲルとは裏腹にシロナはすぐにでも安全な場所への避難を提案した。
力が目覚めたサトシ。
その力は誰もが驚くものだった。
あの力を欲していたギンガ団がこのまま手を引くとは考えにくい。
戦力を整えて、何としてでもサトシを捕えようとするだろう。
シロナはそれを恐れた。
「だったら、“あの場所”へ行こう。」
『Σ……!
ダメだ!
“あの場所”へ御子以外の人間を招き入れるわけにはいかない。』
「大丈夫だよ、ミュウツー。
みんなは信用できる。」
『そういう問題ではない。』
「大丈夫だって!」
『その根拠のない発言は何とか出来ないのか?』
「あのー…、“あの場所”って…どこ?」
軽く言い争いをするサトシとミュウツー。
しかし、他の面々はその意味が分からず代表してヒカリが問いかけた。
「…伝説の御子と伝説のポケモンしか知らない場所があるんだ。」
『サトシ!
私は反対だ!』
「ミュウツー、みんななら大丈夫だから。」
『…本当にお前はどこまでも能天気な奴だ…。
…どうせ、私が何を言っても聞き入れるつもりはないのだろう?』
「うん…、ゴメン…。
…ありがとう。」
ミュウツーを真剣に見据えながら「大丈夫」だと言うサトシについにミュウツーも折れた。
仕方ないと言わんばかりにため息をつくミュウツーにサトシは苦笑しつつも、感謝の意を伝えた。
「みんなを、ある場所へ案内する。
だけど…約束してほしい。」
ミュウツーからシゲルたちへと視線を移したサトシは真剣な表情を浮かべながら静かに口を開いた。
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