―2―
「おはよう、サトシ、タケシ!」
「おはよう、ヒカリ。
もうすぐで朝ごはんの支度も出来るからちょっと待っててくれ」
「それなら、私も手伝うわ!
何をすればいい?」
「それなら皿をそこに並べてくれるか?」
「わかったわ!」
それはいつもある風景。
タケシが食事の準備をしてヒカリが手伝う。
だが、サトシはただぼんやりとそれを見つめているだけ。
タケシとヒカリはサトシはまだ寝ぼけているのだと思い、作業を中断し、サトシに声をかけた。
「サトシ!働かざるもの食うべからずだぞ。
少しは手伝ってくれ」
「そうよ!ポケモンたちだって手伝ってくれてるのよ!」
「あ、うん。
わかってるよ」
腰に手をそえながら言うヒカリは少し怒っている様子だった。
対するタケシは困ったように眉を寄せてサトシを見つめていた。
「…俺は…、何をすればいい?」
「そうだな…、川に行って水を汲んできてくれるか?」
「わかった。」
「ピカピ、ピカチュウ!」
「ピカチュウはタケシとヒカリの手伝いをしててくれ。
すぐに戻ってくる。」
「ピカ?
……ピカピ…?」
水筒を手に歩きだしたサトシの後をついていこうとしたピカチュウはサトシに止められ、心配そうな表情を浮かべながら己の主人の背中を見つめていた。
ピカチュウは最近、サトシの様子がおかしいことに気付いていた。
ただ、それが何なのかは分からないが、最近のサトシは何かに悩んでいるようにも感じた。
同時にサトシの疲れが日に日に溜まっていることも知っていたから心配で仕方なかった。
タケシやヒカリに、何回も必死に言葉でジェスチャーで伝えようと努力はしたが、いかんせんピカチュウはポケモンでタケシとヒカリは人間。
言葉で伝えることは極めて困難だった。
サトシはサトシで疲れているはずなのに2人の前では気丈に振る舞っていて、タケシもヒカリも全く気づく様子もない。
「ピカピ…。」
ピカチュウはサトシの背中が見えなくなった後もずっと主人の消えた方を見つめ続けていた。
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