―2―
シゲルたちを守るように立つポケモンを見たサトシは驚きに満ちた表情を浮かべていた。
『…久しぶりだな。』
「ミュウ…ツー…。」
そこに立っていたのは、以前、サトシが出会ったポケモン…ミュウツーだった。
シゲルたちに向けられた攻撃から守ったのは他でもない、ミュウツーだった。
「どうして、…ここに…?」
『お前の強い想いに引き寄せられた。
仲間を守りたい、という強い力を感じた。
私は“伝説の御子”たるお前に力を貸そう。』
「ミュウツー…、ありがとう…。」
「お前は…なんなんだ!?
お前のようなポケモンなど…見たことも聞いたこともない!
邪魔だてをするなら、こちらも容赦しないぞ!」
『……私は“伝説の御子”を守るためにここに来た。
邪魔をするなら…、私も容赦はしない!』
「クソッ!
ドクロッグ!行け!
あんなポケモンなのかもよく分からない奴に負けてたまるか!
どくづきだ!」
『…この程度か…?』
「……なッ!?」
ミュウツーにどくづきを放ったドクロッグの攻撃をミュウツーはサイコキネシスでいとも簡単に止めた。
更にそれに驚くサターンに向けてサイコキネシスで身動きが取れないドクロッグを返した。
ドクロッグは圧倒的な力を前に戦闘不能になり、ドクロッグの下敷きになったサターンは身動きが取れなくなった。
「君は…。」
『話は後にして、ここを脱出する。』
「サトシくん、大丈夫…?」
「は、はい…。
でも…体が…。」
「麻痺しているみたいだな。
…毒はどうした?」
「解毒はしてくれたんだけど…、麻痺までは…。」
「仕方ない。
サトシは僕が背負っていくよ。
シンジたちはギンガ団に出くわしたら、倒していってくれないか?」
「分かったわ!
とにかく…、タケシくんたちが心配だわ。
急ぎましょう!」
入り口に向かって駆けるシゲルたち。
しかし、タケシやヒカリの姿は見えず、心配になったサトシはシゲルに向かって口を開いた。
「…シゲル…、タケシたちは…?」
「僕たちが中に忍び込みやすくなるように、アジトの入り口で戦ってくれてる。
つまり、陽動役をしてくれてるんだ。」
「そっか…。
ミュウツー…、頼む…。
先に行って…、タケシたちを助けてくれないか…?」
『……わかった。』
シゲルから事情を聞いたサトシはミュウツーにタケシたちを助けてほしいと頼んだ。
もし、陽動で戦っているなら、入り口にいるギンガ団たちの数は少なくないはずだ。
むしろ、時間が経てば経つほどその数は増えていくだろう。
それを案じて、サトシはミュウツーに頼んだ。
みなまで言わずとも、それを察したミュウツーはアジトの入り口目指して先に行った。
「……彼は…、人間の言葉を話せるんだね…。
あ、いや。
テレパシーと言った方が正しいか…?」
「…テレパシーで話せるポケモンなんて、他にも…たくさんいるぜ…?」
「…サトシは本当に…たくさんの伝説のポケモンに会って来たんだね。」
「…伝説…とか、…そんなの関係ない…。
俺にとっては…、出会ってきたポケモンたちのことを仲間や友達だって思ってるから…。」
「…ぬるい奴だな。
今まで会ってきた伝説のポケモンを一体くらい捕まえればバトルだって、楽に勝てるだろう。」
「……俺は…、そんな考え方は出来ないから…、それに…ゲット出来るほど余裕があったことなんてなかったからな…。」
シンジの言葉にサトシは力無く笑った。
「…サトシくんのその考え方、私は好きよ。
ポケモンは戦いの道具じゃないわ。
私は…、ポケモンはパートナーだと思っているわ。
サトシくんもそうでしょう?」
「…はい。」
シロナの言葉にサトシは肯定の言葉を返した。
サトシにとってポケモンたちは仲間であり、友達であり、…かけがえのない存在。
シンジの考え方の全てを否定するわけではないが、サトシは強いポケモンをゲットしたいのではない。
一緒に強くなっていきたいのだ。
きっと…この想いは、“伝説の御子”である自分に必要不可欠なものになる。
だから思った。
この気持ちを大切にしようと。
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