―12―
「アカギ様!」
「何の騒ぎだ?」
シゲルたちが侵入したことで、アジト内は混乱に満ちていた。
その騒ぎは自室にいたアカギの耳にも届いていた。
そんな中、サターンが慌てた様子でアカギのいる部屋に足を踏み入れた。
何があったのかを問いかけたアカギにサターンは口を開いた。
「例の子供の仲間が侵入してきたようです。
幸い、まだ入口近くで戦闘していて、深くまでの侵入は許してないようです。」
「来るだろうとは思っていたが…。
仕方ない。あの子供と共に別のアジトへ移動する。
すぐに連れて来い。」
「はっ!!」
アカギに指示されたサターンは、すぐさまサトシが閉じ込められている牢へと急いだ。
***
「お前は…!」
「出ろ。」
「…なに…?」
「いいから早くしろ!」
「触る…な…っ!」
牢に閉じ込められていたサトシはサターンが少し慌てた様子で自分に近付いてきたことに気付き、抵抗した。
しかし拘束され、麻痺して動けないサトシの抵抗など無意味なものでしかなかった。
「…クソ…ッ!
おれは…お前らの思い通りになんか…ならない…!」
「フ…、抵抗も満足に出来ない状況でよくそんなことが言えるな。
安心しろ。
お前の力、アカギ様が充分に役立ててくださる。」
「いやだ…いやだ…っ!」
「無駄だと何度言えばわかる?
…いいことを教えてやる。
今、お前の仲間がアジト内に侵入した。
だが、入口で戦うのが精一杯でそれ以上は進めていない。
お前の仲間が手をこまねいている間にお前は別のアジトに移動するんだ。
助けなど…来るはずもない!」
「……シゲル…。」
サターンの言葉に落胆してしまったサトシは何かを思うようにシゲルの名を呟いた。
「(…シゲルに…助けてもらえたら…なんて…。
そんなこと考えたらダメだ…!!
…俺は…、シゲルやみんなが無事ならそれでいい…。
もう…それ以上、何も望まないから…だから……。
誰か…。
シゲルたちを助けてくれ…。)」
「━━━…サトシッ!!」
悲しそうに目を伏せたサトシは誰かの声を耳にした。
その声は…聞きたくて…会いたくてたまらなかった人の声…。
ゆるゆると顔をあげたサトシは自分の目を疑った。
「…シ、…シゲル…?」
そこにいたのは、今し方までサトシが思い浮かべていた人が立っていた。
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