―10―
「アカギ様!」
サトシがギンガ団に捕えられ、ほどなくしてボスのアカギがサターンと共にアジトへと姿を現した。
そしてそれをジュピター、マーズが出迎えた。
サトシを捕えるよう命じ、任務に出ていたはずのジュピターが戻ってきていることに気付いたアカギは足を止め、口を開いた。
「…捕えたか?」
「はっ!
捕えて拘束し、牢に閉じ込めてあります。
今は厳重な警戒体勢で見張っております。」
「そうか。
ならば、後で様子を見に行こう。
ジュピター、ご苦労だった。」
「ありがとうございます。」
「……後は赤い鎖の復元と…、“伝説の御子”の力が目覚めれば…全ての準備が整う。」
アカギはニヤリと笑みを浮かべた。
***
その頃、シゲルたちは国際警察ハンサムが得た情報を元に、とある場所に向かっていた。
ハンサムやシロナの働きかけのおかげで、シゲルたちはサトシが捕われているであろう場所を特定した。
サトシの無事が分からない今は気持ちが焦るばかりだった。
「サトシ…、頼む…!
無事でいてくれ…!」
「シゲルくん、サトシくんを救出するためには冷静な判断力が必要だ。
焦りは禁物だよ。」
「はい。
サトシを助け出すために必要なことは分かっているつもりです。
…ただ…、サトシはいつも無茶ばかりする奴だから…心配なんです。」
「…廃工場でも私達を助けるために、あんなにふらつきながらも…ギンガ団と対峙して、戦ってくれた…。
今度は私達がサトシを助けるために戦う番よね!」
「そうだな。
サトシがこのままギンガ団に捕まったままでいたら…きっと大変なことになる。」
「ピカピ…。」
「ポチャー!ポッチャマー!」
「…………。」
気合いを入れるシゲルたちをシンジはただ無言で見つめていた。
シンジもいつもの皮肉をサトシが捕われてからは一言も口にしない。
サトシを心配していればこそだが、タケシたちがそれに気付くことはなかった。
たった一人…。
シゲルを除いて。
「(…どうやら、何だかんだ言いつつ、シンジもサトシのことをかなり気にしているみたいだな…。
サトシは僕が守る。
サトシが抱えている運命がどんなに重いものだとしても…、僕がサトシを想う気持ちにウソも偽りもない。
小さい頃から一緒だったんだ。
これから先も一緒にいられるように…。
今はサトシを助け出すことに専念しよう。)」
そっと目を閉じ、息を吐いたシゲルが次に目を開けた時…、その瞳には強い意志が宿っていた。
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