―9―
「ちょっとやり過ぎじゃない、ジュピター?」
ここはギンガ団のアジト。
そこにサトシを捕らえてきたジュピターが戻ってきた。
サトシを捕まえたのだと、出迎えたマーズはすぐに気付いたが、ジュピターの部下に抱えられるサトシに視線を向けたマーズはそんな言葉を発した。
サトシは意識がない上、猛毒と麻痺で苦しそうに荒い呼吸を繰り返していた。
マーズの言葉にジュピターはフンと鼻で笑いながら、サトシへと視線を向け…口を開いた。
「生意気な口を叩くからちょっと痛めつけただけよ。」
「ちょっとってレベルじゃないように見えるけど?」
「…アカギ様には殺さなければどんな手を使っても構わないって言われてるわ。
アカギ様の命令に従っている以上、文句を言われる筋合いはないわ。」
「…まあ、別にいいけど。」
「ジュピターさま、この子供はいかがいたしますか?」
マーズと会話を交わしていたジュピターはサトシを抱える部下にどうするべきか問われた。
「そうね…。
毒で死なれても困るし、解毒だけはしておいて。
でも、波動を使われたら厄介だから…麻痺は残したまま、両手と…それに両足を使えないように拘束して牢の中に閉じ込めておきなさい。」
「かしこまりました。」
サトシを連れて行った部下を目で見送りながらマーズはニヤリと笑みを浮かべながらジュピターに向かって口を開いた。
「あの子、波動が使えるようになったの?」
「ええ。
仲間を守るために波動を使ってきたわ。
それ以前に私達から逃げるために、はどうだんを使ってきたけどね。」
「へぇ…。
それなら力が目覚めるのもそう遠くないってことね!」
「ええ。
アカギ様もお喜びになるわ。」
「そうね。
とにかく今はあの子を逃がさないように警戒を強化した方がいいわね。」
「当たり前よ。
これで逃げられたりでもしたら…アカギ様がお怒りになるわ。」
***
「……はな…せ…っ!」
「黙れ!
お前はギンガ団の野望のために役に立ってもらわねばならない。
痛い目にあいたくないなら、ここで大人しくしているんだな!」
「あぐ…っ!」
猛毒におかされていたサトシはギンガ団によって解毒はされた。
しかし、麻痺までは治してはもらえず…、サトシは苦しそうな表情を浮かべながら気丈に振る舞った。
体中が痺れていて、言葉でさえも満足に発することが出来ないサトシはろくに抵抗も出来ないまま、牢の中に乱暴に押し込まれ閉じ込められた。
麻痺をしていなかったとしても、両手は後ろで拘束され、両足までもガッチリと拘束されてしまっては身動きなど取れるはずもない。
「…おれ…、どうなる…んだろう…。」
牢の中で、小さな声が響き渡った。
その声の主は悲しそうに顔を歪め、声を押し殺して涙を流した。
「たすけて……。
たすけて…だれか…たすけて…。」
牢の中でサトシは必死に恐怖と戦っていた…。
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