―6―
スカタンクのどくどくが自分達に放たれた瞬間、シゲルたちは固く目を閉じた。
毒の霧を吸わないようにと、咄嗟に息も止めた。
しかし、シゲルたちは予想していたものとは違う雰囲気を感じた。
そんな雰囲気を感じとったシゲルたちは恐る恐る目を開いた瞬間、驚愕した。
━━━シゲルたちの目には、自分たちを守るように立つサトシの後ろ姿が映った。
「…サトシ…?」
「……ぐ…っ、…がはっ!」
自分たちの前に立つサトシは、ふらついていた。
正直、立っているだけでやっとだろう。
「猛毒を浴びながらも仲間を助けるなんて…泣けるじゃない。」
「は、はぁはぁ…っ!
…うる…さい…。
みんなには…手を…出す…な!」
「あははは!
ふらつきながら言っても説得力がないわよ?
でも、やるじゃない。
スカタンクのどくどくを、波動を使って止めるなんて。
…だけど…言ったはずよ。
抵抗したら…仲間たちが苦しむことになるって。」
「…俺は…どうなってもいい…。
でも…、みんなには…手を…出すな…!」
「生意気な口を叩くんじゃないわよ!
どうなってもいいって言うならその言葉に甘えさせてもらおうかしら?
やれ!」
「はっ!
行け、コイル!
でんじはだ!」
ふらつきながらもシゲルたちを守ろうと必死に立つサトシにジュピターは部下に指示をした。
指示を聞いたギンガ団の下っ端はコイルを出し、でんじはを指示した。
「う、ああ゙ぁあ゙ぁあぁあ゙っ!」
コイルのでんじはを食らったサトシは悲鳴をあげ、地に伏した。
「サトシ…!
サトシーーッ!」
「ピカピー…!」
「おい、目を…覚ませ!」
「サトシ!」
「やめて…やめてーっ!」
猛毒と、麻痺…、両方を食らってしまい意識を失ったサトシを目にしたシゲルたちは悲痛な叫び声をあげた。
「あら、意識を失っちゃったの?
ふふっ、まあいいわ。
目的は達した。アジトへ帰るわよ!
その子供を連れて行きなさい!」
「はっ!」
意識を失い、ぐったりするサトシはギンガ団の一人に抱えられ、ジュピターや他のギンガ団と共に、ヘリコプターの中へと消えた。
「…サトシ…っ!」
「サトシーーー!」
「ピカピーー!」
「…あの…バカが…ッ!」
「サトシ…サトシ…!」
自分たちのいる廃工場から飛び立ち、消えていくヘリコプターを見つめながらシゲルたちはサトシの名前を呼び続けた。
サトシはギンガ団の手に落ちてしまった…。
[
*←前
] | [
次→#
]
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -