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「…なんで…?」
あの場から離れるように逃げたサトシは強い戸惑いの中にいた。
ギンガ団は自分を捕えようと捜し回っていたはず。
それなら仲間たちから自分が離れればギンガ団は自分を追いかけてくるはず。
それなのにギンガ団が自分を追いかけてくる様子はない。
「…みんなは…?
みんなはどうなったんだろう…?」
シゲルたちの安否が心配になってきたサトシは先程、ゴルバットたちに襲われた場所へと戻った。
「…誰も……いない…?」
しかし、そこにはシゲルたちの姿も、ギンガ団の姿もどこにも見当たらなかった。
「……なんで…?
…あ、あれは…。」
シンと静まり返ったその場所に呆然と立ち尽くしていたサトシは自分がさきほど、座り込んでいた木の影に手紙のようなものを見つけた。
それを手に取り、中身を見たサトシは目を見開いた。
そしてその手紙を握り締め、すぐに駆け出した。
“あなたの大事な仲間はいただいたわ。
返してほしいなら…この先にある廃工場へいらっしゃい。
来なければ…仲間がどうなっても知らないわよ?
もし、廃工場へ来たら…抵抗をしない方が身のためよ。
抵抗した分、仲間が苦しむことを覚悟しなさい。”
手紙にはそう書かれていた。
うかつだった。
夢の中で、歴代の“伝説の御子”たちが教えてくれていたのに。
『大切に思っている者を人質に取られたり…、時には殺されてしまうこともあった。』
そう、言っていたのに。
「いやだ…!
俺のせいでみんなが危険な目にあうなんて…絶対にいやだ…っ!
俺は…どうなってもいい…!
でも…みんなは…!」
また零れそうになる涙を拭いながらサトシはただ走り続けた。
***
「この縄を…ほどいてよっ!」
「僕たちをどうするつもりだい?」
「…あんたたちは黙って見てなさい。
私達はあのサトシという子供に用があるだけよ。」
「ふざけるなッ!
サトシに…何をするつもりだ!?」
ジュピターの言葉にシゲルはキッと睨みつけながらそう言った。
「…あのサトシとかいう子供といい、あんたといい、生意気な子供ばかりね。
あのガキ…、捕まえようとすれば逃げて…、私は早く任務を達成して帰りたいだけなのよ。
それなのに…あのガキ…っ!
………フフ…。
そうだわ。
いいことを思いついたわ。」
爪を噛み、苛立ちを募らせていたジュピターは途中でニヤリと笑うと、そんな言葉を発した。
「…お前ら…、あいつをどうするつもりだ?」
今まで沈黙していたシンジはジュピターが浮かべた笑みに何か、嫌なものを感じて、そう問いかけていた。
「…ちょっと痛い目に合ってもらうだけよ。
さっきも言ったけど…、黙って見てなさい。」
「もしあいつに何かしたら…、」
「━━みんな…ッ!!」
ジュピターの言葉に不吉なものを感じたシンジは睨みつけつつ、言葉を発した。
しかし、サトシが登場したことでその言葉を最後まで発することが出来なかった。
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