―3―
「…ごめん…。」
しばらく泣いていたサトシは、ようやく落ち着きを取り戻し、少し恥ずかしそうな表情を浮かべながら謝った。
「…どうして謝るんだい?」
「……みんなに…言えなかったことがあるんだ。」
サトシの頭にポンと手を乗せたシゲルの顔をちらりと見た後、再び俯いたサトシはおもむろにそんな言葉を発した。
「言えなかったこと…?」
「おれは……“伝説の御子”なんだ。」
「“伝説の御子”…?」
「…うん…。
おれは…。」
「ゴルバット、ちょうおんぱ!」
ぽつりと語り始めたサトシ。
自分は“伝説の御子”だというサトシにシゲルたちは聞いたことのない言葉に眉を寄せた。
その意味をサトシに聞こうとしたシゲルたち。
しかし、それは第三者の声に遮られた。
第三者の声に辺りを見回したシゲルたちは驚愕した。
シゲルたちの周りには複数のゴルバットがいた。
状況も満足に把握できていないシゲルたちにゴルバットたちは容赦なくちょうおんぱを放ち…、シゲルたちは苦痛に顔を歪めて膝をついた。
「きゃあぁ…!やめ、て…!」
「これは…一体…っ!」
「頭が…っ!」
「ぐぅう…っ!」
「みんな…っ!
…くっ…!」
複数のゴルバットから一斉に放たれたちょうおんぱ。
苦しそうに顔を歪め、頭を押さえるシゲルたちを見たサトシは悲しそうに見つめた。
「(…ダメだ…!
俺のせいだ…!
俺がこのままみんなと一緒にいたら…みんなが苦しむことになる…。)
―――クソっ!」
ちょうおんばの波にサトシはふらつきながらも、シゲルたちから離れるように駆け出した。
━━シゲルたちを守りたい。
ただ、その思いを抱えてサトシは逃げた。
自分が逃げ出せばギンガ団たちは自分を追いかけてくるはず。
そう考えてのことだった。
だから必死に逃げた。
わき目もふらず、ただ必死に逃げた。
しかし…、サトシの予想とは違い…ギンガ団はサトシを追いかけてはこなかった…。
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